STAR LIGHT, STAR BRIGHT and other stories

『願い星、叶い星』アルフレッド・ベスター河出書房新社 奇想コレクション


奇想コレクションの最新刊!
河出は頑張ってくれています!


収録作品
『ごきげん目盛り』
最高級のアンドロイド。
しかし、なぜかそのアンドロイドが殺人を犯し……
『ジェットコースター』
女をナイフで脅す男。
命乞いをする彼女だが、何かその反応が気に入らないらしく、
彼はそこから立ち去り、また新たな女を捜し始める。
『願い星、叶い星』
ある少年の作文には、
テレポーテーションや物質変換器などを発明した友達のことが書かれていた。
それを本当だと信じた校長は、彼を見付けて一儲けしようとするが……
『イヴのいないアダム』
荒涼とした地球を、一人這い続ける男。
一体、地球に何が起きたのか?
『選り好みなし』
核戦争後のアメリカ。  
統計を調べているアディヤーは、
フィニー郡を中心になぜか人口が増えていることに気づく。
調べに行くと、定期バスが来るたびにどこからともなく大勢の人間が現れ……
『昔を今になすよしもがな』
人類が滅んだ世界。
リンダは自称最後の人間。
いつものようにジープを走らせていると、目の前に男が。
彼は南に向かっている途中だという。
彼女は、車の運転を教える代わりに、
自分の家にピアノを運ぶのを手伝って欲しいと頼む。
二人の共同生活が始まるが…… 
『時と三番街と』
三番街のあるバーにやってきた男女。
そこにいた男は、二人が来るのを待っていたという。
彼らが買った年鑑は、実は未来のもので、それを返して欲しいというのだが……
『地獄は永遠に』
ありとあらゆる経験、感覚を味わってきた6人。
全てに退屈し、唯一していなかった殺人を決行し、メンバーの一人を殺す。
そのとき、そこに悪魔が現れ、5人に思い思いの世界を差し上げようと言ってきた。
5人がそれぞれの選んだ世界は?


ベスターというと、やはり『虎よ、虎よ』のイメージが強いんだけど、
短篇は結構風味が違う。


お気に入りは、『イヴのいないアダム』『昔を今になすよしもがな』『時と三番街と』あたり。


『昔を今になすよしもがな』は「世界最後の人間」ものなんだけど、二人ともキチガイなんで、
状況を意に介さず、自分のしたいことを貫き、
店でものを盗ってくる際に金を払ったり、借用書を書いていくのが気持ち悪い。
あのラストは、最後の最後で人間の正気(本能?)を取り戻したったこと?


『選り好みなし』のラストは、日本人としてはなんか複雑に読んじゃう。


実は、『時と三番街と』が一番好き。
タイムパラドックスっていうジャンル自体がパズルみたいなものだけど、
さらにこれは小じゃれた感じで、オチがくすりという感じ。