A DEGREE OF MASTERY

古書修復の愉しみ

古書修復の愉しみ

『古書修復の愉しみ』アニー・トレメル・ウィルコックス(白水社)読了。


本屋で一目見たときから、ハァハァしてしまう、この題名!


しかし、以前、やはり『製本工房から』っていうステキな題名の本を買ったものの、
装丁士の本当に日々の雑記だけが書かれていて、
非常にげんなりしたことが脳裏をかすめたんだけど、
表紙と、作者が外国人と言うことを信じて新刊で購入決定。


アタリでした。


日本だとあまり馴染みがないけど、
海外では装丁、古書修復ってのが専門の教育機関、組合もあるくらい地位のあるもの。
そのアメリカの第一人者ウィリアム・アンソニーの女性弟子1号の作者のエッセイ。


敬愛する師匠との思い出と、古書修復の手順が交互に出てきて飽きさせない。
紙の脱酸やら、折りのかがり直しやら、革装の張り直しやら、
と古書修復の記述はもちろん、この師匠との思い出もまた面白い。
こういう恩師との思い出は退屈だったりすることもあるけど、
その古書修復に対する心構えや技術が常に書かれていて退屈とは無縁。
また、日本の道具や建具師の職人としての心構えもよく出てきて、日本人としても気を惹かれる。


この手のことに興味がある人なら、是非オススメ。
やってみたいなぁ。