今月の特集は『字空論の彼方に』
科学エッセイ『時空の歩き方』に合わせた特集。


・『歴史家のために世界の安全を守る「時間順序保護」』……スティーヴン・W・ホーキング
タイムマシンは可能か、というエッセイ。
正直言って、数ページで断念。
まったく頭に入りませんでした。
結論としては不可能。
・『過去は変えられるか』……イーゴリ・ノヴィコフ
こちらはタイムパラドックスはあり得るか? というエッセイ。
こっちはがんばって読みました。
割とわかりやすくて、面白かった。
・『貴腐』……ケイジ・ベイカ
24世紀の超巨大秘密結社〈カンパニー。〉
彼らはタイムマシンで過去に行き、そこの現地人を不死身のサイボーグと改造する。
タイムマシンは過去から現在には戻れるが、未来には行けないため、
不死身となったエージェントがその時代のお宝を発見し、
24世紀に見つけられるように隠すのだ。
今回、19世紀のメンドーサとジョウゼフに来た命令は、珍しい貴腐菌のついた葡萄の木。
伝道師として身を隠しているジョウゼフの、熱心な信者のインディアンの家に生えているものだ。
メンドーサは、きわめて珍しい貴腐菌で、その発見ボーナスとして、
個人的研究のために6ヶ月間自由に本社のコンピュータにアクセスできるのだ。
なんとしても、その気を手に入れたい彼女だったが、
ジョウゼフはその指令に何か府に落ちないものを感じ……
シリーズもので、日本初訳。
短気で自分勝手なメンドーサと、苦労性でフォロー役のジョウゼフのコンビがイイ感じ。
未来から来た人間がタイムギャップに四苦八苦するわけではなく、
見つけたものをどうするのかは別のお話で、
現地で行動するエージェントがお宝を見けるための苦労がシリーズのメインなのかな。
スプリガン』にちょっと近いかもしけないけど、アクションではなく、ジョウゼフが策を練って手に入れるのが面白い。
個人的に、秘密結社とかエージェントって言葉に弱いんだよねぇ(笑)
これは他のも読みたい。
・『影たちがやってくる夜』……ガードナー・ドゾワ
核戦争後。
地球の様相は一変していた。
地球は新人類によって管理され、自我を持ったAIたちが軌道上にいた。
チュダックは、大昔、人格のダウンロードなどがはやったとき、肉体派宣言という書物を記し、有名になった人物だ。
その彼の元に、毎晩影のような存在が現れる。
未来からの観光者が自分を見に来ているのだろうか?
そして、彼の80歳の誕生日。
各地で肉体派宣言の集会が開かれているとき、
機械人と、はるか過去に不死化した妻が訪れる……
久々のドゾワ。
クラーク万歳小説(笑)
時間旅行、機械人、不死、核戦争とネタは満載だけど、窮屈さは感じられない。
自我を持ったAIが他の銀河を目指すってのは、『国立博物館物語』とかぶるけど、単なる偶然、だろうね。
人を継ぐものとしてのAIの存在では『国立博物館物語』の方が上だと思ってるけどね。


『サはサイエンスのサ』は佐世保の小学生殺人事件。
やっぱり、みんなあのプロファイリングは同じ意見だよなぁ。


『WORLD SF IN A BOX』には米英SF画集特集。
『THE WOLVES IN THE WALLS』って去年だったんだっけ?


『MAGAZINE REVIEW』はアシモフ誌。
ジャック・スキリングデッドの『Rewind』が読んでみたい。
10年ちょい前にこういう未公開映画があったけど。