REQUIEM

『鎮魂歌』グレアム・ジョイス(ハヤカワFT)読了。


プラチナファンタジー6弾!


グレアム・ジョイスの長篇としては日本初訳。
短篇も『SFマガジン560号』に一本載ったきり。


一年前に妻を失ったトム。
未だに立ち直れず、彼は教師を辞め、
親友のシャロンがいるパレスチナにやって来る。
しかし、数十年ホテルから出たことがないという老人に死海文書らしい断片を渡され、
夢とも現実ともとれない老婆に付きまとわれる。
さらに幻覚はひどくなり……
トムの妻への愛は? 彼が教師を辞めた理由は?
老婆と文書の正体は? 


……なんかあらすじが書けない話だなぁ。
臭いの強い香料の煙が渦巻いているのを見ている内に、
迷路のような中東の町に迷い込んだ、そんな感じのお話。
現実と幻覚の間で酔う。
女、性、キリスト教マグダラのマリア死海文書、ジン……
それらが、繰り返し繰り返し、渦巻きのように現れて、大麻のようにとろーんとなる。
感想も書けないなぁ。
なんつーか、色々とねっとりしてる。


もしかしたら、好きな人はかなりはまるかもしれない。
万人向けじゃないかな。
キリスト教圏だと、また違うのかね?


河出とか晶文社の奇想ものに対抗して、
プラチナファンタジーは出しつづけて欲しいなぁ。
そうでないと、この手のファンタジーの受け皿がなくなっちゃう。