今月のSFマガジンは昨年に続いて、スプロールフィクション特集2。


・『ジョン』……ジョージ・ソーンダース
天才児たちが集められた施設。
彼らはあらゆる商品を評価し、彼ら自身がCMのような存在だった。
ある日、ジョンは女子エリアに忍び込んで、キャロリンとの間に子供を作ってしまう。
出産が近づくに連れ、彼女は外の世界に行くと言い張る。
彼女は愛しているが、この素晴らしい施設と待遇を捨てるのも気が引ける。
ジョンが選んだのは……
今回の掲載作品で一番SFっぽかったかな。
接続された女」の別の視点の話って感じも。
・『ある日"半分になったルンペルシュティルツヒェン"』……ケヴィン・ブロックマイヤー
左右二つになってしまったルンペルシュティルツヒェンの日常。
朝起きて、生きたマネキンをして、後援会で話す。
・『基礎』……チャイナ・ミエヴィル
男は家屋を調査し、完璧にひび割れや年数などを言い当てることができた。
しかし、彼には常にあるものに悩まされていた……
この話の種になっている、パパブッシュが湾岸戦争の時に、
イラク人の死体を見たくないとか言って、生きたまま塹壕ごと埋めていったっていう話が出てくんだけど、
これって事実? まぁ、やりそうだけどね。
ところで、この作者、ミーヴィルとミエヴィルどっちが正しいの?
・『飛ぶのは未だ越えざるもののため』……ジェフ・ヴァンダーミア
南米の刑務所で看守を勤める主人公。
そこには秘密警察がおり、日夜政治犯に対する拷問が行われていた。
主人公は一人の囚人に話しかけられる。
彼は無実の罪で収容されているという。
家族に自分がここにいることを伝えて欲しいと頼まれるが……
今回の米軍のイラク兵に対する虐待なんかに対する批判が、
こういう作品みたいな形になって出てくんだろうね。
・『ほかの都市の物語』……ベンジャミン・ローゼンバウム
存在しない、5つの町の物語。


このスプロールフィクションはなんぞや? てのは未だに上手く説明できない。
『ジョン』なんかSFでもいいと思うしね。
この辺の線引きが曖昧なのが、スプロールフィクションか。
テリ・ウィンドリング のエッセイに書かれている
「ファンタシィの読者からは拒絶され、それ以外の読者からはまるっきり無視される」
って言葉が一番わかりやすい説明かも。


香山リカのエッセイは「自己責任」の話。
勉強になりました。


『猿たちの迷い道』はクッキーの話。


『人間廃業宣言』は最終回。


ローカスベストセラーのハードカバー第4位に、
ハインラインの『For Us, the Living』
書かれていた事実のみは知られていた作品で、先日原稿が発見されての出版だとか。
凄いね。