YEAR OF THE GRIFFIN

グリフィンの年 (創元推理文庫)

グリフィンの年 (創元推理文庫)

『グリフィンの年』ダイアナ・ウィン・ジョーンズ創元推理文庫F)読了。


ダークホルム2部作(2部作ってなんか座り悪いな)。
ダークホルムの闇の君 (創元推理文庫)』から8年。
魔法大学は財政難に陥っていた。
しかし、今年の新入生の中には、


チェズニー氏の観光協会から世界を救ったダークの娘エルダ。
北の王国の皇子ルーキン。
南の帝国の皇帝の妹クラウディア。
東の首長国出身のフェリム。
黄金にくわしいドワーフラスキン
謎の美女オルガ。


たちがいるのだ。
彼らの担当教授にして、学長のコーコランは多額の寄付を期待したのだが、
そろいも揃って問題があり、
寄付の催促の手紙を家族に送ったりしたら、騒動が起きるのは必至。
一方、魔法大学は、長年の観光協会の支配のため、すっかりレベルが落ちていた。
そこでエルダたちは、自分たちで真の魔法を学ぼうと努力を始めるのたが、それがまた騒動を……


前作は、
こちらの世界からの観光客が、好き放題しているファンタジー世界であるダークホルムを、
遺伝子魔法だけが取り柄のダークが救う羽目になってしまう、
名作ゲーム『MOON』のような話で、けっこう好きだっただけに、
今回は魔法大学の物語と聞いてちと不安。
しかし、さすがはジョーンズ、そんな不安は無用。
狂騒的で、騒動と不満の満ちたキャンパスライフが非常に活き活きと描かれている。
様々な種族が、楽しそうに肩を並べているのはいいね。


いつもキャラクターの描き方は魅力的で、
特に人間の遺伝子も受け継いでいるグリフィンのエルダと、
ドワーフラスキンが異種族っぽく描かれていていい感じ。
前作で登場したキャラクターも少しずつ登場。
ブレイド坊やもすっかり立派になって、最強の魔術師の一人になってるし。


理論的に宇宙旅行をしようとするファンタジーなんて、けっこう凄い。
ジョーンズはファンタジー作家だけど、いつもどこSFっぽい匂いをさせてるんだよね。


これはシリーズにして欲しいなぁ。