A MAPMARKER'S DREAM

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『修道士マウロの地図』ジェイムズ・カウアン(草思社)読了。


歴史ミステリモードになったので、続けてこれを読む。

著者が発見した古文書は、16世紀の修道士マウロの日記だった。
彼はあらゆる事象を収めた最高の地図を描こうとしていた人物だった。
一度も実地踏査することなく、すべて商人や旅行者から情報を集め、そこに構築した世界とは……

妄想すれすれの博物的知識ぎっしり(こればっかだな)の地図作成物を期待してたんだけど、
主人公の世界地図に例えられた現実認識と内省の哲学物でしたわ。
でも、まぁ、それなりに面白かったかな。
章末にもっともらしく註があるんだけど、実は、ここで描かれるマウロと言う修道士はフィクション。
実際にいた人物だけど、本当は15世紀の人物だそうだ。そういう遊びが好きな作者なんだろうな。


こういうメタ・ヒストリーものだと、『後宮小説』がオススメかな。
実話だと、『古地図に魅せられた男』(マイルズ・ハーベイ/文春文庫)と『経度への挑戦』(デーヴァ・ソベル/翔泳社)が面白かったです。