ハッカーズ
おおおっ! 神よ! 私は今まで何を見てきたのでしょうか?
目から鱗が、それ以外のものもぼろぼろとこぼれ落ちた感じ。
私の盲を明けてくださいました。
- 作者: スティーブン・レビー,松田信子,古橋芳恵
- 出版社/メーカー: 工学社
- 発売日: 1987/02/01
- メディア: 単行本
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『暗号化』と同じ作者の本で非常に読みやすい。
面白かった! それだけではないな。見事に啓蒙されました。
今まで俺がカッコイイと思ってきたサイバーパンクもののハッカーたちは偽物だと気づかされた。
いや、偽物じゃないな。例えるなら、『エマ』とメイド萌えもの以上の違いとでも言おうか。
彼女たちはまだメイドらしき格好をしているけど、サイバーパンクはハッカーのハの字も真似してない。
もともと、ハックするというのは、別に非合法なことを指しているわけではなく、
機械の能力の拡大や可能性の探求、究極的にまで知り尽くすことにアナーキズムを加えたのがハッカーの姿勢。
今、俗に見られるようなちょっと小汚い格好で、キーボードを叩いて、アウトローなことやってるって、ナニソレ?
って感じだわ。ギブスンなんざクソ食らえ!
今まで俺が間違ってました、ごめんなさい。
さて、内容は3部構成。
MITハッカー、ハードウェアハッカー、ゲームハッカー。
1部と2部はまさにハッカー黄金時代で面白い。
特に、2部の、スティーブ・ドンピアのエピソードは涙なくしては読めない。
オルテアを組み立てたドンピアは、プログラムを打っていると、干渉して近くのラジオが様々な音程のノイズを出すことを見つける。
次の仲間たちの集まりまでに『フール・オン・ザ・ヒル』が流れるようにプラグラムを組む。
実演すると、いつもなら質問責めにするメンバーが驚きで静まり返ってしまった。
で、2曲目が『デイジー』。
もう、ここでやばかったね。電車で読んでて泣きそうになった。
1957年だかにベル研究所でコンピューターが初めて奏でた曲が『デイジー』だそうだ。
つまり、究極的にまで進化したコンピュータHALは最初期にまで退行してしまった、と言う意味だったのね。
初めて知った。
3部はコンピュータゲーム時代。
今現在、プログラムのことを全く知らない人間でも、誰もがコンピュータを持っているという事態は、
ハードウェアハッカーたちの望んだ状況であり、このゲーム時代がその始まりなんだけど、
同時にビジネスとビッグマネーが入り込んできたため、黄金時代は終焉を迎えることになる。
一緒にチャイニーズフードを食べに行く相手がいなくなった、というのが涙を誘う。
映画『スニーカーズ』を100倍楽しむ本だな。
登場人物の一人通称キャプテン・クランチはコズモのモデルだそうだ。
また、エピソードの一つだけど、盲目の電話ハッカーも出て来る。
ソーシャル・エンジニアリングも出て来るしね。
映画の冒頭でペパロニピザを買いに行くのもなんとなく納得できる。
オススメ。特に文系の人に。