90年代SF傑作選

90年代SF傑作選〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)

90年代SF傑作選〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)

90年代SF傑作選〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)

90年代SF傑作選〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)

『90年代SF傑作選』山岸 真(ハヤカワSF)読了。
まー、言い尽くされていることだけど、80年代にサイバーパンクと言う大きな流れができて、90年代SFはそれを消化した、という意味がなんとなくわかった。
真面目な論評はできないので、気に入った作品を。


上巻では
『フラッシュバック』……ダン・シモンズ
『魂はみずからの社会を選ぶ』……コニー・ウィリス
『バーナス鉱山全景図』……ショーン・ウィリアムズ
『羊飼いの惑星』……アレン・スティー
特に『バーナス鉱山全景図』と『羊飼いの惑星』がお気に入り。
前者は『逆転世界』を思い起こさせる。『羊飼いの惑星』は本当にショートだけど、渋くてかなり好き。


下巻は
『マックたち』……テリー・ビッスン
『ホームズ、最後の事件ふたたび』……ロバート・J・ソウヤー
『理解』……テッド・チャン
『人間の血液に蠢く蛇』……ジェイムズ・アラン・ガードナー
『ルミナス』……グレッグ・イーガン
『棺』……ロバート・リード
下巻の方が好みの作品が多かった。
『マックたち』は現実的にやっちゃうんじゃないかと思うようなクローンもの。
『ホームズ、最後の事件ふたたび』はホームズをシュレーディンガーの猫的に解釈した作品。ソウヤー凄いわ。
『理解』はアルジャーノンみたいな話なんだけど、天才同士の闘いがなんだかわからないけどかっちょええ。
『棺』は宇宙遭難もの。『万華鏡』や『冷たい方程式』風に進むのかと思いきや……。


サイバーパンクのハイテクだったものが普通のアイテムになってるんだよね。
まー、現実世界も世界中の人間が携帯端末持って、クローン人間論争をしてるんだから当然なのかな。
短篇だから切りよく読めるし、オススメ。