久々に都内に出て、映画を観てきた。


メメント』と『オテサーネク』……映画通でもないのに、いつもながら映画通が集まりそうな単館(笑)


まずは『メメント』。
映画好きの間では前評判がよかったけど、まー、単館だし、宣伝もそんなにやってるわけでもないし、と高をくくっていたら、初回は見事に立ち観だったため、1時間並んで次の回を観ることに。
並んだといえば、前回見たのが『猿の惑星』いやなものを感じたが、結論から言うと、観に行って損はなし。


あらすじは簡単で、妻を殺された主人公の犯人探し。
彼はそのときのショックで、10分しか記憶が持たない。
そこで証拠は写真とメモと自分の体への刺青として残し、犯人を追っていく。
これだけだと、まー、面白そうかな程度。


しかし、この映画は、冒頭が犯人を殺すところから始まって、10分ずつ遡って行く構造になっているのだ。
彼自身も自分のメモの本当の意味を覚えてないため、それが10分ずつ解き明かされて行くわけだ。
一見、謎が徐々に明らかになっていくように見えて、実は、無数のメモや写真がどうつながってくるのか分からなくなってくる。
当然、ラストは主人公のスタート時点になるわけだけど、
「ああ、なるほど」と「あれ?」が交ざって、爽快感なし(笑)。
意外なラスト。観終わったあとに、あのメモってなんだったんだっけ?
と訊きたくなるから、一人で行くと寂しいかも。
系統的には『ユージュアル・サスペクツ』かな。
ディックの世界に似てるかも。この秋オススメ。


もう一本は、シュヴァンクマイエルの新作『オテサーネク』。
こちらも小さな映画館で、最終回だったんだけど、ほぼ満席。
不妊症の夫婦で、子供が欲しくて精神的にまいってる妻。
そこで、気を紛らわせてあげようと、
旦那が赤ちゃんの形に似た木の根っこを見せたら、妻はそれを本物と思いこんで(?)、産着を着せたり、お風呂に入れたりし始める。
……てっきり、シュヴァンクマイエルらしく、現実と妄想の区別がつかない、ちょっとサイコさんな話だと思ってたら、根っこは本当に食べ物を食べて成長し始める、っつー話に。
うーん、ありゃあ、コメディか?
お高く止まった講評なら、シュールレアリスティックな世界がどうたらとか、思春期の少女の心がどうたら、とか書くんだろうけど、
あれは、たぶん『アタック・オブ・ザ・キラートマト』と同じようなもんだ。
というわけで、観に行ったら笑え。
ただ、いつもの作品に比べて、シュヴァンクマイエルの生肉感とざわざわ感が薄いかな。
剥製とか標本が急に動き始めて迫ってくるような不気味さがなかったわ。