PAVANE

パヴァーヌ

パヴァーヌ

パヴァーヌ』キース・ロバーツ(扶桑社)読了。
心に染み入る静かな余韻、とはこのこと。


連作集で、その主人公たちは悲惨な最期を向かえていく。
基本的にはハッピーエンドが好きなのだが、どうにも、歴史に身を捧げる系や歴史に翻弄されて悲惨な末路、というのに弱い。


あちこちの書評で言い尽くされているが、そのビジョンはまさしく宮崎駿の世界を思い浮かばせる。
路上蒸気機関車が石畳を走り、唯一の通信網である信号塔がどこまでも続く。
パズーのような少年が駆け回り、断崖にいくつも並ぶ風車がからからとなる風景が見えるではないか。
月並みだが、その主人公がサンリオ版の表紙にもなっている『コーフ・ゲートの城』とパヴァーヌの代名詞とも言える『信号手』が感動的。
まさに名作。