MONSTERS A Collection of Literary Sighting
- 作者: B・J・ホラーズ,古屋美登里
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2014/08/22
- メディア: 単行本
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フランケンシュタイン映画が大好きな少年の爆笑の日々を描く「クリーチャー・フィーチャー」。凡帳面な男の怪我した爪から生まれた無口な働き者「泥人間」。サマーキャンプでいじめられっ子が遭遇したもっとも危険な相手とは……「モンスター」。自分を吸血族と信じて疑わぬ少年の大切な“牙”が一家に招く事態を描く「ダニエル」など粒ぞろいの17篇。ケリー・リンク、エイミー・ベンダー、ベンジャミン・パーシーら気鋭の作家が贈る、恐怖と笑い、遊び心に満ちた、ちょっぴり切ない傑作モンスター・アンソロジー。
「クリーチャー・フィーチャー」……ジョン・マクナリー
「B・ホラー」……ウェンデル・メイヨー
「ゴリラ・ガール」……ポニー・ジョー・キャンベル
「いちばん大切な美徳」……ケヴィン・ウィルソン
「彼女が東京を救う」……ブライアン・ボールディ
「わたしたちのなかに」……エイミー・ベンダー
「受け継がれたもの」……ジェディディア・ベリー
「瓶詰め仔猫」……オースティン・バン
「モンスター」……ケリー・リンク
「泥人間(マッドマン)」……ベンジャミン・パーシー
「ダニエル」……アリッサ・ナッティング
「ゾンビ日記」……ジェイク・スウェアリンジェン
「フランケンシュタイン、ミイラに会う」……マイク・シズニージュウスキー
「森の中の女の子たち」……ケイト・バーンハイマー
「わたしたちがいるべき場所」……ローラ・ヴァンデンバーグ
「モスマン」……ジェレミー・ティンダー
モンスター(実在、作り物問わず)を題材にしたアンソロジー。
「モンスター」という響きだけで、何故、こんなにも物悲しい味わいが醸し出されるんだろう。
滅ぼされるべき運命だからなのか、異形さ故なのか。それらが免罪符となり、人間の罪を仮託されながら、人間(のまま)では許されない解決法に彼らを導いていく。
収録作もそこに寄った、似たような雰囲気のものが多く、正直、バラエティに富んでいるとは言い難い。
まぁ、悪くはないんだけど、もっと、はっちゃけたのも欲しかったなぁ。そういうのはランズデールを読めって?
名前聞いたことない作者ばかりだなぁ、と思ったら、本国でもそんなにメジャーでない人が多いのね。
短篇集などで、翻訳に際して原著から何篇か省くことは珍しくないけど、どうせなら「モンスター」の代わりの他のを入れて欲しかったなぁ。この中ではケリー・リンクがビッグネームなのはわかるけど、さすがに半年の間に三回も「モンスター」を読むのはなぁ。しかも、短篇集*1とほぼ同時って。
お気に入りは、
モンスター映画が大好きな少年と、彼の親友の少女を描いた「クリーチャー・フィーチャー」
生まれた時から性格も体力も人間離れしていた少女の行く末を描いた「ゴリラ・ガール」
中年の男女となったキングコングとゴジラの哀愁ただよう「彼女が東京を救う」
事故でひどい顔になってしまった少年の日々「瓶詰め仔猫」
自分そっくりの泥人形が現れ、家事などをやらせていたが…「泥人間」
ビッグフットのきぐるみを仕事にしている女性と、病気の恋人を描いた「わたしたちがいるべき場所」