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今月の備忘録
02『ナイトフライヤー 』ジョージ・R・R・マーティン〈早川書房〉
09『セミ』ショーン・タン〈河出書房新社〉
11『図書館司書と不死の猫』リン・トラス〈東京創元社〉
20『ショーン・タンの世界』〈求龍堂〉
23『伊藤典夫翻訳SF傑作選 最初の接触 』高橋良平編〈早川書房〉
23『惑わない星(4) 』石川雅之〈講談社〉
24『愛なんてセックスの書き間違い 』ハーラン・エリスン〈国書刊行会〉
24『死者の饗宴 』ジョン・メトカーフ〈国書刊行会〉
23『X-MEN VS. アベンジャーズ』〈小学館集英社プロダクション〉
23『オールスター・バットマン:ファースト・アライ』〈小学館集英社プロダクション〉
31『アベンジャーズ:タイム・ランズ・アウト I』〈ヴィレッジブックス〉
31『X-MEN:ダークフェニックス・サーガ』〈ヴィレッジブックス〉
SUNSTONE
「待って! 閉じないで! これは、ホットなレズビアンのボンデージ・セックスを描いた本よ」
「よし。これでつかみはオーケーだわ」
というつかみが見事w
ボンデージ・セックス愛好家のレズビアンカップルの自伝的作品という体をなしている。
カバーアートはセクシーだし、実際、内容も性的に露骨。それに惹かれて手にとって見ると、やはり冒頭の惹句どおりのコミックなんだけど、そこに描かれているのは、SMBDの同性愛者だけではなく、あらゆる人に共通する普遍的なコミュニケーションの物語なんだよね。
ネットで出会った二人がオフラインで合う前のドキドキと不安感は、嗜好にかかわらず、誰もが共有できると思う。
そして、作品の根幹をなしているSMプレイは、一歩間違えば大怪我してしまうからこそ、信頼を基盤にしたコミュニケーションのゲーム。Sが一線を越えないことをMは信頼し、SはMが一線を越えさせないことを信頼している。
人間が二人以上集まれば、そこにコミュニケーションが生まれ、SMプレイに限らず、愛情・友情は信頼と尊重のやりとり。
「ホットなレズビアンのボンデージ・セックス」を描きながら、万人に共通する「互いへの思いやり」を描いている。
3巻までは、アリー(女王様)とリサ(奴隷)の友情と愛情とSMセッションが全て右肩上がりに高まっていくんだけど、4巻でもうひとりの奴隷が加わることによって、二人の関係に亀裂が入り、相手と自分を見つめ直していくことになる。
1~3巻もエロコメとしてすごい好きだったんだけど、このロマンス定番の冷却期間が輪をかけて面白い。
すれ違いも、この二人だからこそ、ではなく、やはり誰にでも起こりうるディスコミュニケーションによるもの。
また、4巻以降で目立つのが、ディスコミュニケーションの展開になると同時に、増えた絵柄のバリエーション。
これまでは、セッションへの感情のクロックアップを表すような艶っぽい超美麗アート(大ゴマ)と、普段のちょっとラフな筆致の二つだったのが、落書き風やディフォルメ表現が出てくる。特に幼児アリー&リサのコマはお気に入りw ネガティブ・リサもいい。
キャラとしては、アリーがやっぱ好き。
プレイ中は隙のない女王を演じるけど、普段はちょいちょい抜けた表情を見せる。何より眼鏡w
……なんだけど、後半はリサが非常に目立ってくる。
二人の関係に亀裂が入るまでは、リサは「奴隷」として「ご主人様」のアリーに従っているだけで、物語の語り手であるにもかかわらず、キャラクターとしてはかなり控えめ。
しかし、「主従」が壊れたことによって、「一組」が「二人」になり、そこで初めて、人間として対等に自身と相手を見つめ直していく過程で、彼女のキャラクターが魅力的に見えてくる。
物語の最初で、これはアリーが書いている自伝的作品だということは明かされているのだけど、果たしてそれは信用できる語り手なのか? それは最後まで読めばわかります。
5巻で二人の話は一区切りだけど、以降、サブキャラたちを主人公に据えたシリーズが続くそうなので、そちらも楽しみ。
アランはホントにいいやつだよなぁ。
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