THE TETRIS EFFECT

テトリス・エフェクト―世界を惑わせたゲーム

テトリス・エフェクト―世界を惑わせたゲーム

テトリス・エフェクト―世界を惑わせたゲーム』ダン・アッカーマン〈白揚社


冷戦終結直前のモスクワに一人のアメリカ人が降り立つ。
巨大資本のライバルを出し抜き、複雑怪奇な官僚機構を相手に彼が求めるのは、『テトリス』のライセンス契約だった……!


テトリス』のライセンス争奪戦を描いたノンフィクション。


メガドラ版の『テトリス』は権利関係で発売直前に回収されたんだっけ〜? というぼんやりした記憶をお持ちのそこの貴方! ぜひ本書をオススメ!
しかも、ライセンスを求めてきたアメリカ人は、あの『ブラックオニキス』のクリエイター!


テトリス』開発者のパジトノフと、ライセンス契約を結ぶためにモスクワにやってきたヘンク・ロジャースの物語が交互に語られる。


テトリス』の発想はペントミノから来てるって知ってた?
ブラックオニキス』の製作者は宝石商のもとで働いてたって知ってる?


テトリス』と『ブラックオニキス』の開発秘話も十分に面白いんだけど、やはり、『テトリス』が鉄のカーテンの隙間から西側に漏れていき、ライセンス争奪戦になっていく中盤からが面白い。


デタラメなライセンス契約に加え、ライセンスのバラ売り、転売が繰り返され、誰が、どの地域の、なんのハードのライセンスを手にしているか、メチャクチャな状態。そこに、ある携帯ゲーム機のライセンスが空いていることに気づいたものがいた! それが当時のゲームキッズの脳裏に刻まれているメガドラ版販売中止の顛末につながるのだ。
今の40〜50代にとっては、この時代は記録ではなく記憶なんだよね。
知らない話でも、知ってる固有名詞しか出てこないw だから、こことここがつながるのか〜!という興奮が味わえると思う。


関係者がモスクワに集まり、真のライセンス争奪戦が始まる終盤が本書の白眉。
ここからはスパイものとコンゲームを混ぜたような展開。特にラストの契約書の仕掛けは痛快すぎて、ホントに実話!?


SFなんかにしないで、このまま映画化してくれないかなぁ。


オススメ。