『エリア51(15)』
- 作者: 久正人
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2017/09/08
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログ (1件) を見る
あ〜あ……
もう続きが読めないのは残念だけど、一本の作品として、ラストの締め方として、非の打ち所がない。
あとがきにもあるけど、世界救ったり、「エリア51」の謎が判明することはなく、時々寄り道しつつ、あくまで、マッコイ個人の物語で終始したのが素晴らしい。
マッコイは、探偵として有能だし、人間離れした腕っ節だけど、世界の命運を背負うには小さすぎるし、それはマッコイの復讐に必要でない。そもそも物語の整合性が崩れることを作者はよしとしないと思う。
探偵が主人公というのは、向こうからトラブル(=エピソード)が来るのだから連載向きだけど、今作では、全ては復讐の準備のために探偵を営んでいた、という必然性の凝りようw
また、ピカレスクロマン(悪漢ではないけど)として徹底していたのも見事。
マッコイは、基本、皮肉屋の善人だけど、復讐のためには絶対に譲らないし、安易なハッピーエンドも存在しない。
毎度感心してしまう、オカルトネタのミキシング。
最終エピソードはドッペルゲンガーの生体とゾンビパンデミックで、ラストに相応しいパニックと、マッコイのクライマックスをも演出。
復讐に目が曇り、人間性と魂をなくしてまでドッペルゲンガーを倒そうとするマッコイをとめたのは―
マッコイの復讐の物語だけど、表紙が表すように三人の人生でもある。
そして、最終回。
サイレントとモンタージュで語られていく、その後の20年。
みんな大好きキャラハーンさんも登場。
あのメンツが揃って壮健でいるようだから、20年間はとりあえず大きな混乱はなかったのね。
悟空は頭は生えてきても、足は無理なの?w
予想通り*1、やはりラストで3つの願いが効いてきたなぁ。
音が戻った時、また冒険が再開される。
第62話
透明人間が敵なので、「透明人間」映画の監督名。
「J・ホエール」 → ジェームズ・ホエール『透明人間(1933)』*2
「バーホーベン」 → ポール・バーホーベン『インビジブル』*3
「カーペンター」 → ジョン・カーペンター『透明人間(1992)』*4
第64話
ウォーターリーパーのポジノが住んでいた「アルバトロス池」 → 『フロッグマン』*5の「アルバトロス・フィルム」
ウォーターリーパーはウェールズ地方の水辺の妖精。ポジノは『フロッグマン』出演のジョン・ポジノ(ポンジノ)から。
ヨーウィーのデガンジャが住んでいた「フーマジン通り」 → 『ウルトラマンG』*6の「風魔神デガンジャ」
ヨーウィーはオーストラリアのUMA。デガンジャはアボリジニの風神が元の怪獣。
あと気になるのが、ドッペルゲンガーが奪った技の持ち主の元ネタ。
1966年のゴゴラはボリウッドの怪獣映画から。
1973年、ワンインチパンチの香港の武術家はブルース・リー。
1976年、頭蓋骨で銃弾一周させた格闘家は、記憶にあるんだけど、誰だったっけなぁ……
メジャーリーガーと地下ボクサーはわからん。
8Pの小冊子がおまけについてるので、紙媒体をオススメ。
マッコイの娘がどんな風に喋るのかは、こちらで確認できる。
この短編がまた泣ける。
以前、スコットランドで捕まえたハギスは小さかったので、一人で何とかなりましたw
あ〜終わっちゃった…