The Accountant



『ザ・コンサルタント』鑑賞


「アルゴ」のベン・アフレックが、凄腕の殺し屋の顔を持つ謎の会計士を演じたサスペンスアクション。田舎町のしがない会計士クリスチャン・ウルフには、世界中の危険人物の裏帳簿を仕切り、年収10億円を稼ぎ出す命中率100%のスナイパーというもう一つの顔があった。そんなウルフにある日、大企業からの財務調査の依頼が舞い込んだ。ウルフは重大な不正を見つけるが、その依頼はなぜか一方的に打ち切られ、その日からウルフは何者かに命を狙われるようになる。アフレックが主人公ウルフを演じるほか、「マイレージ、マイライフ」のアナ・ケンドリック、「セッション」のJ・K・シモンズらが出演。監督は「ウォーリアー」「ジェーン」などを手がけたギャビン・オコナー。

お〜も〜し〜ろ〜い〜!!


「実は凄腕の殺し屋}系としては『イコライザー*1レベルに好きな作品として登録されました(『ジョン・ウィック*2はあんまり……。好きな人スマン)


キャラ立ちは『イコライザー』以上かも。


なんと言っても、主人公のクリスチャン・ウルフがいい。
驚異的な計算能力を持ち、人付き合いはできないアスペルガーベン・アフレックが好演。
目に光はなく、無表情なんだけど、彼の感じていることがわかるんだよね。
頑張って人付き合いしているのもわかるし、比喩表現を理解するのが苦手なときの対処法、パターンを見出したときにだけ表情が豊かになる様子に、彼のことが好きにならざるをえない。


そのキャラクター的魅力を存分に引き出す演出。
冒頭からの短いシークエンスだけで、主人公はアスペルガーで、裏社会に通じているけど、慎ましく暮らす一般人の味方でもあることが、すぐにわかる。
家のちょっと前でガレージを開け、スピードを落とすことなくそのまま駐車するコミカルなシーンは、彼の計算能力と効率を表しているからこそ、後に出てくる差異は、それだけで、彼がパニックに陥ったことがわかる巧みさ。
彼の個性が物語全体と不可分で、パターンと効率を好む様子が観客にとっては興味の対象であると同時に、数学以外は、常に訓練の日々なんだよね。殺人術も日常生活も。そこが説明されなくても理解できる。


映画が結構進んでも、実は話がよく見えてこない。でも、ストレスはないんだよね。
映画は、「ウルフvs.大企業の不正」「ウルフという人間」「財務省によるウルフの追跡」の三本柱によって構成されていて、それが有機的に絡み合いながら、飽きることがない。
帳簿を調べる姿から彼の表の顔が見え、財務省の追跡によって、裏社会との関わりがおぼろげながらにわかってきて、その合間に回想が挟み込まれ、徐々にウルフの人生が輪郭を取っていく。


アメコミ的に言うなら、『ザ・コンサルタント・ビギンズ』なんだけど、ネタを続編にとっておくこともなく、出し惜しみしないきっぷの良さw
ただ、ウルフが軍隊にいた理由と裏社会から狙われない理由は語られてないよね? お父さんの所属が「心理戦」としか語られないから、特殊部隊的なものにいたと妄想。
さすがにウルフの助手は続編にとっておくと思いきや、あれも良かったなぁ。


身を潜めるときに持っていくのが、『アクションコミックス』創刊号。「スーパーマン」の表紙をベンアフが持つ!w
たぶんあれは、状態がそんなに良くない本で、換金しやすいけど、しばらくの潜伏生活ができる程度の金になるってことだろうな、と脳内補完。
そういうディティールもいい。


ラストは、人殺しだけどいいのか? という気もするけど、彼にとってはそれはそれ、これはこれ、なんだろうね。


それにしても、バットマンパニッシャー、ジェイムスン、アマンダ・ウォラー、とMARVEL、DCに関わっていない俳優はいないんじゃないかと錯覚しちゃう。