The Gift


『ザ・ギフト』鑑賞


華麗なるギャツビー」「ブラック・スキャンダル」「ジェーン」などで活躍する俳優ジョエル・エドガートンの長編初監督作品で、「パラノーマル・アクティビティ」「インシディアス」といった人気ホラー作品を手がけるジェイソン・ブラム製作によるサイコスリラー。新たな転居先で幸せな生活を送る夫婦の前に、夫の同級生と名乗る男・ゴードが現れた。再会を喜んだゴードから、2人に1本のワインが「ギフト」として贈られる。しかし、徐々にゴードからのギフトはエスカレートしていき、度を越していく贈り物に2人が違和感を覚えはじめた頃、夫婦のまわりに異変が起き始める。エドガートンは監督、脚本、製作を務め、ゴード役で出演。ゴードに狙われる夫婦の夫役に「宇宙人ポール」のジェイソン・ベイトマン、妻役に「トランセンデンス」のレベッカ・ホール

久々の試写会にて鑑賞。


新居に引っ越してきたサイモンとロビンの前に、夫の同級生と名乗る男が現れる。
彼は何かと「贈り物」を持ってきてくれるのだが……


この時点で、イヤ〜な展開が容易に予想できるんだけど、この後が教科書的どんでん返し!
どんだけ真面目だよ! エドガートン!
もっとはっちゃけてもいい気がするけど、ホント、真面目そうな顔してるもんなぁw
ただ、その無駄のない真面目な作りが、緊張感が徐々に高まっていく物語にマッチしている。


個人的には、完全な善意だとしても、こっちの都合とは別にしょっちゅう顔出されたらイヤなのに、本作のゴードは明らかに怪しく、新居を侵食していく「善意」はうざいを通り越して、気持ち悪い。


しかし、第二幕はゴードがまるで登場しない。
そのおかげで平穏が訪れると思いきや、彼がいないことによって、より存在感が増し、全体に重くのしかかる。
それと同時に、良き夫だと思われていたサイモンの本性があぶり出される。


この構図が逆転していく様子が丁寧で、比重を書けるバランスが巧み。
サイモンのクソ野郎っぷりに、不気味だと思っていたゴードはひとまず置いといて、社会的抹殺を願いたくなるw


この障壁を夫婦は乗り越えるのか、それとも……
そして、最後に届けられる「贈り物」は……


全くスカッとしないけど、アンソロジーに入ってたら記憶に残る短編小説、という趣の佳品。
オススメ。


以下ネタバレ


人によって解釈の割れるラストだけど、あれは『黒後家蜘蛛の会』の「会心の笑い」だと思うんだよね。
個人的には、ゴードは昏睡レイプどころか、何もやってないと思う(不法侵入と盗撮除く)
犬がいなくなったのも、鯉が死んだのもたまたま。
ところが、サイモンは思い当たる節がありすぎなため、全てゴードだと決めつけ、最終的には妻子も信用できなくなる。
一方のゴードは、そんなサイモンの人間性が全く変わっていないことに憤り、復讐を決意したんではなかろうか?