Pride and Prejudice and Zombies



『高慢と偏見とゾンビ』鑑賞


ジェーン・オースティンによる恋愛小説の古典「高慢と偏見」にゾンビの要素を取り入れる大胆なアレンジでベストセラーとなったセス・グラハム=スミスの同名小説を、「シンデレラ」のリリー・ジェームズ、「マレフィセント」のサム・ライリー主演で映画化。感染するとゾンビとなる謎のウィルスが蔓延する18世紀のイギリス。片田舎で暮らすベネット家の5人姉妹は、裕福な男性との結婚を夢見ながら得意のカンフーでゾンビと戦う毎日を送っていた。ある日、屋敷の隣に資産家のビングリーが引っ越してきて、ビングリーの友人で大富豪の騎士ダーシーも出入りするようになる。舞踏会でダーシーと知り合い、色めきだつ姉妹だったが、次女のエリザベスだけは、ダーシーの高慢な態度に嫌悪感を抱いていた。そんな中、人類とゾンビによる最終戦争が勃発。ともに戦うことになったエリザベスとダーシーは、互いに自らの中で抱いていた偏見に気づきはじめる。監督と脚本は「セブンティーン・アゲイン」のバー・スティアーズ。原作ファンで映画化のきっかけを作ったナタリー・ポートマンがプロデューサーとして参加。

セス・グラハム=スミスの同名小説*1を実写化。


う〜ん、これ、映画化としては失敗の部類じゃないかなぁ。


小説の段階で『キル・ビル*2のようなケレン味たっぷりで、やたらと印象的な死の五芒星やニンジャなどの変な東洋成分をばっさりカットして、ヴィクトリアン寄りにしちゃってるのは大きなマイナスだと思う。
しかも、そのヴィクトリアンも安っぽい、ゾンビも安っぽいから、画面が全体的に薄っぺらい。こういうのは過剰にやってくれないとつまらないよなぁ。
急に変な日本語喋りだしたりするんだから、ニンジャを出しても世界観に矛盾を来さないのにカットしたのは、製作者が大胆になれなかったか、予算がないかw
映像なんだからこそ、そういうのが見たかったよなぁ。木人とかさ。


原作読んだのが、もう6年前なんでうろ覚えなんだけど、ゾンビ・アポカリプスの危機という展開あったっけ?


これは、あくまで『高慢と偏見*3を読んでいることが大前提の小説で、そこにちょいちょい挟まるゾンビや東洋趣味の改変を楽しむ作品。意外とゾンビ成分は控えめで、内容も『高慢と偏見』まんまなんだよね。
そのまま映画化しても、原作の面白みを再現するのは難しいから、後半のゾンビ大戦という改変を施したんだと思うけど、それなら、それを起点に最初まで再構成するべきだよなぁ。
そのくせ、ジェーンとビングリーを別れさせる口実が、原作の原作たる『高慢と偏見』と同じなのは首を傾げる。これは『高慢と偏見とゾンビ』の改変の方を使ったほうがしっくりくるのに。


原作通りの部分と改変部分の接続が雑で、伏線らしきものをまるで拾わないのは物語としてどうなの?
冒頭の正気を保ってるっぽいゾンビが後半のラザロ教会とつながる描写はないし、家にゾンビを引き入れた仲間の正体もはっきり明かされない(彼なんだろうけど)
レディ・キャサリンとニンジャ軍団(出てこないけど)はイングランド最強なのに、なんでロンドン侵攻に参加しないの?


あらゆることがちぐはぐとしか言いようがない。


サーセイとタイウィン公が出てるので、『ゲーム・オブ・スローンズ』ファンにはオススメw