アイアムアヒーロー



『アイアムアヒーロー』鑑賞


花沢健吾のベストセラーコミックを、大泉洋主演で実写映画化したパニックホラー。冴えない漫画家アシスタントの主人公・鈴木英雄が、謎のウィルスによって「ZQN(ゾキュン)」と呼ばれるゾンビと化した人々に襲われ、逃亡の道中で出会った女子高生の比呂美と、元看護師の藪とともに不器用に戦いながらも、必死でサバイバルしていく姿を描く。主人公・英雄を演じる大泉と、歯のない赤ん坊ZQNにかまれ、人間に危害を加えない半ZQN状態になるヒロイン・比呂美役の有村架純、大胆な行動力でZQNに立ち向かう藪役の長澤まさみが共演。「GANTZ」「図書館戦争」シリーズを手がける佐藤信介監督がメガホンをとった。

いやぁ、まさか、こんなに真っ当なゾンビ大作が、日本でちゃんと作られる日が来ようとは!


ちはやふる』同様、必要最低限の原作からそぎ落とし/改変を経て、2時間の作品にまとめ上げてる。


展開は、ロメロの『ゾンビ』*1まんまなんだけど、ローカライズは見事に成功してる。
ゾンビもののお約束と言えば、みんな憧れの巨大ショッピングモール。これまで、日本にあれに類する施設はなかったけど、今ではアウトレットモールがあるのだ。
ある種のマクガフィンである、「富士山に登れば感染しない」という噂(震災直後だとリアリティあるデマ……)を目指していけば、その麓にありそうなアウトレットモールに舞台が移るのは必然。


ゾンビパンデミックものは、基本、アメリカが舞台だったんでフィクションだったけど、それが日本になるだけで、見知った風景が崩壊し、非日常化する様が恐ろしい。この感覚は『サイレン』に近いかな。
原作に出てくる「多臓器不全及び反社会性人格障害」の政府発表は出して欲しかったな。


英雄の妄想癖の改変も、実写化としては全然アリでしょう。
矢島が出てきちゃうほうが、テンション狂わされると思う。
英雄のシミュレーション癖は憐憫の目を向けちゃうけど、ちゃんと終盤でもそれは拾われるし。
拾うといえば、腕時計のくだりも、冒頭のコロリ先生(似てるw)が伏線になってるんだよね。


ラストのゾンビ無双状態はちょっとやり過ぎ感があったけど、ハリウッドでも、最近ではここまで血と死体で埋まった通路はなかなかお目にかかれない。
結構グロ描写強いので、苦手な人は要注意。


製作委員会ではなく、映画会社主導だと、ちゃんとここまでできるのね。
……というか、製作委員会ってなに?


有村架純長澤まさみならよくない?(何が)