ちはやふる 上の句



『ちはやふる 上の句』鑑賞


かるたに打ち込む高校生たちの青春を描き、コミックス既刊29巻で累計発行部数1400万部を突破する末次由紀による大人気コミック「ちはやふる」を、広瀬すず主演で実写映画化した2部作の前編。主人公・千早を演じる広瀬のほか、野村周平、真剣佑らフレッシュな若手俳優が共演。監督を「カノジョは嘘を愛しすぎてる」の小泉徳宏が務めた。幼なじみの綾瀬千早、真島太一、綿谷新の3人は、新に教わった「競技かるた」でいつも一緒に遊んでいた。新の競技かるたにかける情熱に、千早は夢を持つことの大切さを教わるが、そんな矢先に新は家の事情で遠くへ引っ越してしまう。高校生になった千早は、新に会いたい一心で「競技かるた部」創設を決意し、高校で再会した太一とともに部員集めに奔走。なんとか5人の部員を集めて競技かるた部を立ち上げた千早は、全国大会を目指して練習に励む。

あらゆる意味で期待せずに観に行ったんだけど、これはマンガ実写化作品の中でもアタリの部類。


最初、千早はしゅっとした女の子の方が原作に近づけるよなぁ、と思ってたんだよね。
広瀬すず好きだけど、けっこう体格いいんだよなぁ。『海街Diary*1はサッカー少女だからはまってたけど、千早はどうなの? と思いきや、競技かるたの性質上、動きが体育会系で、むしろ合ってましたw また、千早はかなりアホな子なのでそれも好演。


キャストついでに書くと、概ねハマってんじゃないかなぁ。
かなちゃんが凄えかなちゃんだったのが高ポイント。原田先生もよかったなぁ。
でも、一番すごいのはヒョロくん。過去の因縁はカットされちゃってるんだけど、存在感半端ないw どこで見つけてきたの!?


ストーリーも、上手く刈り込み、改変ができていると思う。
特に、アメコミ映画ですら陥るオリジンからやられたらかったるいなぁ、を危惧してたら、そこは回想シーンとして組み込まれ、スピード感が損なわれていない。
また、新がかるたから離れてしまう展開をラストに持ってきたのも、部員探し→大会出場という勢いあるテンポを崩さないためのいい改変だと思う。
千早のお姉ちゃんや、太一の教育ママなど「部活もの」として不必要な物は徹底的にオミット。
読まれる札さえも絞られていて、百人一首を知らない観客にも印象を強く残るように考えられている。
唯一、机くんが鉄オタっていう設定はいらなかったよなぁ。「時刻表覚えてるから、記憶力も凄い」的な流れもないし。単にいつもパソコンを叩いてるってキャラで良くない? 太一が完全に色ボケキャラになってるので、彼の超記憶力を机くんに付託してもよかったような。


つまらない漫画実写作品の特徴である、漫画をそのまま画面に乗せ替えました、というのはなく、長い漫画作品を2時間に収めるためにしっかり再構成しているところは、お手本にして欲しい。
アレンジしないなら他メディア化することはないけど、原作ファンの反感も買わないバランスを保っている。
この5人+新に絞って、詩暢ちゃんは別の機会まで待っても、と思ったら、『下の句』で登場するのね。
このクオリティが保てるか!? 期待と不安で『下の句』待ちます。