LAST TOWN
- 作者: ブレイク・クラウチ,東野さやか
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2015/08/07
- メディア: 文庫
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保安官イーサン・バークの告発が引き金となって、町を外界と隔てるゲートは開け放たれた!異形の生き物が群れをなしてなだれ込み、人びとに襲いかかる。凶暴な牙と爪!血塗られた町を飛び交う恐怖の叫び!イーサンは住民を組織して、怪物たちや町の創設者に立ち向かう。だが、仲間は次々と怪物の餌食に…。人類最後の町の未来はいかに?『パインズ』『ウェイワード』に続く三部作の完結篇!
一見、平和な田舎街だけど、何か不穏な影のある……。『ツインピークス』*1的な『パインズ』*2、怒涛の展開でラストに意外なクリフハンガーの『ウェイワード』*3、と海外の連続ドラマを思わせるこのシリーズも、ついに最終巻。
たったの2000年で、こんなに『マンアフターマン』*4になっちゃうかね? という気もするけど、まぁ、怪獣の群れが、どんどん襲ってきて、街が阿鼻叫喚になっちゃのは楽しいわけですよ……とは断言できないんだよなぁ。
ここに来て、◯◯家という風に住人それぞれに焦点が当てられて、短い章で彼ら最期が描かれていくんだけど、いかんせん、これまで、住人を細かく描写してきたわけじゃないから、怪物に食い殺されるモブ以上でも以下でもないんだよね。
こういう演出は、『屍鬼』*5のように、根気よく書き分ける基礎があってこそ生きてくるもの。
しかも、3巻はこれまでにも増して駆け足なので、感慨がまるでなし。
ハスラーはもっと、じっくり読みたかったなぁ。
ただ、ラスト数ページの展開、街の決断には思わず声が漏れた。
ハリウッド的楽天主義ではなく、しかし、かすかな希望を残したラスト。
そこで、彼らは何を目撃するのか?