Art and Craft



『美術館を手玉にとった男』鑑賞


全米46カ所の美術館を30年にわたって騙し続けた贋作作家マーク・ランディスを描いたドキュメンタリー。2011年、アメリカ各地の美術館に展示されていた数々の名作が、ある男が造ったニセモノだったことが判明した。このセンセーショナルな事件に全米のメディアは騒然となりFBIも捜査に乗り出すが、その男マーク・ランディスがすべての作品を無償で寄贈していたため、罪に問われることはなかった。美術界に造詣の深いジェニファー・グラウスマン監督とサム・カルマン監督が謎の男ランディスの素顔に迫り、ランディス本人や事件に関わった人々の姿を通して社会の歪みを浮かび上がらせていく。

贋作ノンフィクションは大好物なんで、しばしば読んでるけど、この映画の主人公は異色だなぁ。


数十年に渡り、様々な画家の贋作を作り、それを全米の美術館に寄贈。
受け取るかどうかは美術館の自由なので、彼は罪に問われることはなく、騙された側は赤っ恥。


この贋作者、マーク・ランディス統合失調症(21世紀の診断だと違いそうだけど……)で、サヴァン的な記憶力と技巧の持ち主。
そのプロフィールだけでも異色なんだけど、贋作対象も多岐にわたる。数世紀前のイコンからピカソ、果てはシュルツまで。
不思議なのは、美術館は鑑定しないの? 金がかかってれば別だけど、寄贈ならそのままもらっちゃうのかなぁ……。
他の贋作者と違って、画材はそのへんのホームセンターで買ってるんですけどw


一方、彼の存在の気付いた学芸員が準主役といえるんだけど、彼は執着しすぎて、美術館をクビに。ラストで、ランディスと会うんだけど、その時も、完全に被害妄想的にw


精神障害者のアーティストというと、『裸の大将』的にピュアなイメージを投影しちゃう。でも、ランディスは、やはり何を考えてるかはうかがい知れないんだけど、美術館を騙したい気持ちはある感じがするんだよね。金銭はどうでも良くて。


オススメのドキュメンタリー。