BRILLIANCE

ブリリアンス―超能ゲーム― (ハヤカワ文庫NV)

ブリリアンス―超能ゲーム― (ハヤカワ文庫NV)

ブリリアンス―超能ゲーム―』マーカス・セイキー〈ハヤカワNV1332〉

世界の総人口の1パーセントが特殊能力を持つ“超能者”として生まれる。一般人と違う彼らの一部は成長してテロリストになる…2013年、自身も能力者である調査員クーパーは、相手の行動を先読みする力を駆使し、悪の能力者たちを排除してきた。その彼の最大の敵、罪のない市民73人を殺害した容疑者“超能者”ジョン・スミスが、米国の根幹を揺るがすテロを計画しているという。クーパーは悲劇を防ぐことができるのか?

ホントに、最近は青背より白背の方を多く読んでる気がするなぁ。
今なら、〈ミクロ・スパイ・シリーズ〉*1も白背だったかもね。


さて。


あらすじだとSFっぽいけど、実際は、よくある潜入捜査官もの。
国家の正義を信じて、長年仕えてきた凄腕の捜査官。とある事情により、敵組織に潜入することになり、そこで、隠された真実を知ることになる……とどこかで見たような定番のスタイルなんだけど、これがリーダビリティもよく、定番ゆえにエンタメとして安心してハラハラできるw
感触は、ハリウッド映画、海外TVドラマっぽい。


この作品を特色は、やはり“超能者”の存在。
ただ、これが、サイコキネシスや発火能力ではなく、人の動きが読めたり、計算がずば抜けている、といった地味なものw
作者の妻が自閉症の論文で修士を取っていることから、アスペルガーサヴァンに見られるような、高度のパターン認識を超能力として描いている。
これがさほど現実離れしていないのは、実際にこういう能力をTVでしばしば見られることからわかると思う。
X-MENのような超“超能力”ではないから、軸としてわかりやすい潜入捜査官ものとして成立し、しかし、本人にもわかるとしか説明出来ないパターン認識能力は常人からすれば十分に超能力なので、そこから生まれるスリリングさもある。


また、能力者によって改変された世界は、時折挟まれるCMやチラシによって掘り下げられている。
そこは、我々の世界の問題が解決されているにもかかわらず、別種の争いと差別が存在する。
世界を支配するには、目からビームを出す必要はなく、株価変動のパターンが読めればいいのだ。


実はシリーズ第一作で、今後、世界はどうなっていくのか気になる。