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監視機構 (サザーン・リーチ2)

監視機構 (サザーン・リーチ2)

『監視機構』ジェフ・ヴァンダミア〈ハヤカワNV1323〉

合衆国南部に突如出現した謎の生態領域〈エリア?〉。その実態調査のために派遣された第十二次調査隊による調査は失敗に終わり、隊員たちは記憶を失った状態で発見・回収された。そんななか、監視機構〈サザーン・リーチ〉の新局長に着任した〈コントロール〉は、機構の改革に着手、帰還した隊員に訊問を繰り返していく。だが、彼は機構になんらかの汚染が進行していると直感していた。エンタテインメント三部作・第二弾

『全滅領域』*1の続編。


前作とは打って変わって、〈エリアX〉の外側にある監視施設〈サザーン・リーチ〉が舞台。
それに合わせるかのように、文章も三人称に変化。


主人公はそこの新局長〈コントロール〉。
しかし、反抗的な局長補佐、謎の現象、それ以上に奇怪な官僚主義に振り回されることに。
プリズナーNo.6*2を出さずとも、何をやっても思い通りにならず、徐々に逃げ道を失い、その場に縛られていく物語はパターンの一つだけど、さらに、この主人公はその状況において苦闘するというより、ヘタレ萌なんだよね(萌えじゃないか)
権力者の母親には頭が上がらず、古参の女性部下はいうことを訊かず、尋問相手にも主導権を握られる。私生活では美女をつまみ食いしてるつもりかもしれないけど、過去には女絡みでトラウマが。
名前とは裏腹に、何もコントロール出来ていない。
実はシリーズ通して、男性の存在感が薄い物語なんだよね。


一方、舞台は〈エリア?〉の外のはずなのに、その存在感は否応なしに侵食してくる。
そして、ますます増殖していく謎……