CASE HISTORIES
- 作者: ケイト・アトキンソン,青木純子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2014/10/22
- メディア: 単行本
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フランスに住むことを夢見る、バツイチ探偵ブロディ。中年の変人姉妹に依頼された34年前に消えた当時3歳の妹捜し(死んだ父親の家を片付けたら、妹とともに消えたぬいぐるみが出てきたんです!)、猫屋敷からいなくなった(誰かがさらっていったんです)黒猫捜し、さえない男の妻の浮気調査(あいつがあんなにゴージャスな女をものにできたなんて!)等々。
『世界が終わるわけではなく』*1のケイト・アトキンソンによる、ミステリシリーズ第一巻。
ニュースで、事件・事故そのものだけでなく、被害者のそれに至る状況(遊園地から帰ってくる途中とか)を報道するのって、無意味にドラマチックに煽ってるだけでどうなの? と個人的には思ってたんだよね。
でも、今作を読むと、当然あらゆる人にはそれまでの人生、そこに至る事情があり、むしろ、単なる「事件・事故」と記号化してしまうことのほうがよくないのでは、と考えを改めたくなった。
探偵ものだけど、主人公が推理し、解決に向かっていく、という話を期待していると肩透かし。
むしろ彼は狂言回しで、依頼者たちの人生や近況が細かく語られていく。
事件の真相を知ってしまうことは、現在の生活を脅かすことにはならないのか?
事件を解き明かしたいというエゴのもと、大上段から真相を関係者に放つミステリの探偵は傲慢そのもの。
そのアンチテーゼのような本作の主体はあくまで人々の日常という小説。
娘は『(500)日のサマー』*2のクロエ・グレース・モレッツに脳内変換w