SHERLOCK HOLMES The Breath of God

シャーロック・ホームズ 神の息吹殺人事件 (竹書房文庫)

シャーロック・ホームズ 神の息吹殺人事件 (竹書房文庫)

シャーロック・ホームズ 神の息吹殺人事件』ガイ・アダムズ〈竹書房文庫あ7-1〉

新世紀の幕開け直前のロンドン。人々を恐怖させ、大混乱に陥れたその事件は、宵のうちから降りだした雪が風に舞うなかで始まった。翌朝、一人の男の死体が発見された――体中の骨が砕け、青あざだらけで膨張した、見るも無惨なもの。しかし、周囲には足跡ひとつなく、ましてや凶器もなかった。まるで空気、いや〈神の息吹〉に殺されたかのようだった……。このあまりにも“不自然な死体”の謎がシャーロック・ホームズのもとに持ち込まれた。相談にやってきたのは、“心霊医師”の異名をとるジョン・サイレンス博士。うさんくさげな人物に難色を示すシャーロックだったが、「事件はこれだけでは終わらない」、と告げられ相棒のワトソンと共に、〈神の息吹〉の謎を解明すべく行動を開始する。それはロンドン中を巻き込む、大事件の始まりだった……。

ネタバレ気味感想注意。


ホームズは一作も読んだことないんだけど、ホームズが出てくる小説は普通の本読みよりも読んでるかも。
ソウヤー「ホームズ、最後の事件ふたたび」*1とか超好き。


で、本作は、カーナッキ*2! ジョン・サイレンス! クロウリー! が共演! とか言われたら素通りできないじゃないですか! 知らなかったんだけど、M・R・ジェイムズの作品*3に出てくるカースウェルという魔術師も登場する。
そんなオカルト探偵揃い踏みの中、ホームズはその事件を解決できるのか!?


う〜ん……
この手のサンプリング小説の中ではまぁまぁな部類だとは思うんだけど、「絶対にオカルトは存在しない」派のホームズと、その対極のオカルト探偵の共演は、やはり無理じゃない?
それとも作者の技量なのかなぁ。『ドラキュラ紀元*4でのホームズの扱いは上手いと思うんだよね。


作者はホームズ研究者だからホームズ寄りになるのは当然だけど、オカルト探偵もので一番好きなジョン・サイレンスの扱いがひどすぎる……。『心霊博士ジョン・サイレンスの事件簿』*5の全てがデタラメとインチキということだもんなぁ。
シャーロキアンにとってはどうでもいいのかもしれないけど、こっちもちゃんと尊重して欲しかった……
となると、名前だけでてくるヴァン・ヘルシングもペテン師ということ? ヘルシングといえば、映画のキャラクターという注釈はちょっとお粗末じゃない?


かと言って、オカルトが実在するとなると、ホームズが間違っているということになって、それはそれで嫌だしなぁ。


で、事件の真相は……もう、幻覚とか催眠術はノックスの十戒に入れない?w