One Step Beyond

世にも不思議な物語 世界の怪奇実話&都市伝説 (扶桑社ミステリー)

世にも不思議な物語 世界の怪奇実話&都市伝説 (扶桑社ミステリー)

『世にも不思議な物語 世界の怪奇実話&都市伝説』レノア・ブレッソン〈扶桑社ミステリー フ41-1〉

平凡な日常からはんの一歩踏み出すと、そこには世にも不思議な世界が待っている。どこまでもまとわりつく幻覚、憑依する悪霊、女教師と自動筆記、少女を翻弄する千里眼、運命を狂わす予知夢、戦場を照らす謎の光、そして行方不明のグライダー……。60年代のアメリカTV界で人気を博した超常現象再現番組≪世にも不思議な物語≫。本書は、この番組で扱われた怪奇実話&都市伝説のなかから選りすぐりの話を集めたファンタスティックな傑作短編集である。

60年代のアメリカで放映されていた『世にも不思議な物語』*1のノベライズ。
『One Step Beyond』って原題カッコイイな 。


題名は聞いたことあるけど、番組自体は全くの未見。
トワイライトゾーン』とか『アウターリミッツ』みたいなものだろうなぁ、と思ってましたよ。体裁こそは一話完結のパラノーマルドラマで同じだけど、こちらは「実話の再現ドラマ」という作りだったのね。『あなたの知らない世界』みたいなもの?


当時、『トワイライトゾーン』は作り物だけど、こっちは実話ベースだってよ!ということに重きを置いていた視聴者もいたのかな?
個人的には、この手のホラー(or ファンタジー)は、ホントかどうかは別の話で、肝心の内容が面白いかどうかが重要w


収録作品は、異色作家短篇集に近いテイスト。
しかし、「実話」を売りにしているので、怪談の真相(正体)がわからないまま終わるものも少なくなく、それが一味違うものにしている。
また、50年以上前の作品だけど、現在でも流通している怪奇実話&都市伝説に似ている話も散見され、そのローカライズを探っていく意味でも面白い。


収録作品
「血まみれの手」
男を弄ぶことを楽しむ女。
そんな彼女を殺してしまったジャズマン。
それ以来、手についた血が落ちず……


「クララからのメッセージ」
生徒に付きまとわれている英語学校の女教師。
不意に自分の意志ではない力で黒板に字が書かれ……


「絆」
突然体調不良になった男。
いくら水を飲んでも、砂漠にいるかのように脱水症状になり……


「呪われた花嫁」
新婚ホヤホヤの夫婦。
ドライブ先で彼女は、まるで別人のように振る舞い始め……


「魔女と呼ばないで」
人の心の声が聞こえる少女。
田舎のため、両親はそれを隠せと申し付ける。
しかし、我慢できず教会に向かうと……


「幻影」
一次大戦中、敵前逃亡で軍事裁判にかけられた5人。
彼らを待っているのは死刑だが、一体何を見たのか?


「夢の結末」
家に、大怪我を負った兵士が来る夢を見た女性。
その後、まさにその彼と出会い、結婚するが……


「空中ぶらんこ」
サーカス一家の長男が結婚した相手は性悪女。
それが原因で父と険悪になり、さらに空中ブランコ中に事故が……


「再会」
グライダークラブの五人組。
戦争が始まり、これが最後という集まりで、飛び立った一人が帰ってこない。
終戦後、彼らは集まるが……


「サリーに会ったときは」
弟の死を自分のせいにされ、家を飛び出した少女。
働き出してしばらく後、帰ってきてほしいという電話に答え、家に向かうが……


お気に入りは、「魔女と呼ばないで」「幻影」「再会」「サリーに会ったときは」あたり。


ところで、「幻影」って、『プロメテア』*2で語られる「モンスの天使」の話とは別物?