LES CONQUERANTS D' OMALE
- 作者: ロラン・ジュヌフォール,鷲尾直広,平岡敦
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2014/08/08
- メディア: 単行本
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ヒト族、シレ族、ホドキン族の3種族による激烈な紛争が勃発し、のちに暗黒時代とよばれるシレ暦9世紀中頃。ヒト族の英雄ジュレミア中尉は、最高司令官ハイダール大元帥から密命を受ける。半世紀前にシレ族から鹵獲した超兵器を境界地域まで運び、それを使って極秘任務を達成せよというのだ。一方、ステイ高原の巨大ピラミッドに参集した3種族の大使たちが、26年に一度のアエジール族との交渉を開始しようとしていた頃、太陽の光を遮って地表を闇と冷気の世界へと変える「閣のプレート」が突如出現し、ヒト族の領域を侵しつつあった……壮大なスケールのプラネットオペラ、待望の第2弾！
シリーズ2巻ではあるけど、前作*1より700年前の物語で、キャラクターなどの関連性はないので、これ単品でも楽しめる（と思う）。
1巻では三種族の平和が訪れた時代だったけど、2巻はまだ戦争が続く暗黒時代。また、今ではすっかり存在を忘れられているアエジール族とも交流がある。
1巻の舞台が飛行艇なら、こちらは装甲車と機関車で大地を走る。
また、前作で六人の主人公たちが己の人生を語っていくオムニバス的な作りだったのにように、今回も三つのエピソードが交互に語られていく。
主軸は、超兵器を発見し、目的地まで運ぶヒト族の特殊部隊の物語。
それに、アエジール族との交渉の影で陰謀を巡らす大使の物語と、謎のプレートによって太陽が遮られ、オマルが極寒の世界へと変貌していく様子が挿入されていく。
それぞれがこの世界ならではの物語で面白く、特にメインは、秘密兵器、汽車、特殊部隊！ とつまらなくなるはずがないｗ
ただ、この構成で期待される三つのエピソードのクロスオーバーはほぼないと言って差し支えなく、実は別の時間軸？ とか思ってしまった。なんかあんまり同時進行の醍醐味がないんだよね。作者の意図かどうかわからないんだけど、それがオマルの広大さを感じさせていると言えなくもないけど。
また、これも作者の癖なのか、前作同様、前半は割とゆったりしているのに、まとめに入る終盤がやや性急な印象を受ける。厚めの小説だけど、それでも、もう0.5冊分くらい尺が足りなくない？ ラストの最終兵器とその目的が明かされても、終わり!? という感じ。
ただ、それはキャラクターとストーリーテリングに魅力がある証拠（〈針〉とかあれだけなのはもったいない。変異したホドキン族はまだ出てくるの？）で、一気に読ませちゃうから、物足りなさを感じさせているんだと思う。
ぜひ3巻や短篇集も出してほしいなぁ。
