Eridahn

『時が新しかったころ』ロバート・F・ヤング〈創元SF文庫748-01〉

カーペンターは腰をぬかすほど驚いた。イチョウの葉を食べる恐竜のすぐ上の木の枝に,子供がふたり腰かけていたからだ。白亜紀後期の地層から発見された人の化石の出所を調査するため,北米古生物学協会から派遣され,74,051,622年の時をこえてやってきたが,まさかそこで,子供を保護することになろうとは! しかも事情を聴いてみると,二人は火星の王女と王子で,誘拐され,地球へ連れてこられたのだという。その言葉を裏づけるように,子供たちを角竜そっくりに擬装した大型武装タイムマシン・トラックに乗せたとたん,三機のプテラノドン飛行艇が襲いかかってきた! 『たんぽぽ娘』『ジョナサンと宇宙クジラ』の著者が贈るロマンティック時間SF長編。

『時の娘』*1所収中篇の長篇版。


やっぱ、このオチだよなぁ。予想と一ミリも外れない。


これ、『さよならダイノサウルス』*2の元ネタってことはない?


ヤングの、幼女趣味と、マッチョ系草食恋愛体質主人公は相変わらず虫酸が走る。好きと言い出せない、というのは小説の推進力ではあると思うけど、ヤング作品のそれはイライラさせられるファクターになっちゃうんだよなぁ。
ただ、トリケラタンクは正直ワクワクしてしまう。ああ! 戦車も、トリケラトプスも大好きさ!
敵がプテラノドン飛行艇に乗ってる理由はあまりないと思うけど。


ヤングにとって、タイムマシンは、告白できない片思いの高嶺の花と自分を好いてくれる少女(幼女)が同一人物だったら一番都合が(自分にとって)いいのに……という願望充足機でしかないんだよね。
多かれ少なかれ、SFやファンタジーにそのきらいはあるとはいえ、ヤングはそれがあからさまで、個人的には、反発を感じちゃうんだよなぁ。