Inside Llewyn Davis



『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』鑑賞


ノーカントリー」「トゥルー・グリット」のコーエン兄弟が、2013年・第66回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した作品。1960年代のフォークシーンを代表するミュージシャン、デイブ・バン・ロンクの生涯を下敷きに、売れない若手フォークシンガーの1週間をユーモラスに描いた。60年代の冬のニューヨーク。シンガーソングライターのルーウィンは、ライブハウスで歌い続けながらも、なかなか売れることができずにいた。音楽で食べていくことをあきらめかけていたが、それでも友人たちの助けを借り、なんとか日々を送っていく。「ロビン・フッド」「ドライヴ」などに出演したオスカー・アイザックがルーウィン役を演じ、歌声も披露。音楽に「オー・ブラザー!」「クレイジー・ハート」のT=ボーン・バーネット。

見終わってすぐは特になんとも思わなかったんだけど、かなりじわじわ来る。


売れないフォークシンガーの一週間を描く。
ただ、これが地獄巡りでも、戯画化されたダメ人間でもなく、ホントに普通に売れない歌手の物語で、際立ったこともなく、残念で地味で、でも一端の矜持はある。なんか心に残るものがあるんだよね。


猫にゃん映画でもあって、ルーウィンの苦労の原因であると同時に、彼の微かな幸運のアイコンと見て取れる。
猫の存在が、彼に仕事をもたらすかどうかのバロメーター。
そういう意味ではにゃんこ映画。


ラストのある人物のシルエットが現れ、音楽の素養のない俺でも、新しい潮流が生まれ始めている、とわからせるのも上手い。