De helaasheid der dingen
- 作者: ディミトリフェルフルスト,Dimitri Verhulst,長山さき
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2012/02/01
- メディア: 単行本
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母に棄てられ始まった、父の一族とのとんでもない日々。貧しい実家にベッドを並べ、カフェに繰り出しては夜な夜なビールをあおりつづける父とその弟たち。甲斐性なしの息子どもを嘆きつつ、ひとり奮闘する愛情深い祖母。ベルギー、オランダでベストセラー。フランダース文学界の俊英による、笑いと涙にみちた自伝的物語。
もうアル中と男やもめしかいないような印象を受ける残念村の、その中でもひときわ残念一家の物語w
連作形式で、楽だから食事は生ミンチとか、放尿比べで我慢しすぎて膀胱炎とか、禁酒治療前にもう一度だけ痛飲するとか、様々な残念エピソードが披露されるんだけど、中でも「ツール・ド・フランス」はオールタイム・ベスト短篇に選びたくらいの傑作。
ツール・ド・フランスになぞらえた大酒飲み大会を開くことに。
5kmをビール一杯と換算し、総合優勝はイエロージャージ。一気飲みが早いのはグリーンジャージ。度数が高い酒を飲むのが早かったら水玉ジャージ。
アミアンからシャルトルまでの百九十五キロのステージ、すなわち三十九杯の酒を飲むのだ。
お前、何言ってるの?
ムレンクスへ向かうオービスク峠とツールマレー峠を越える山岳ステージだ。三杯のビールの平坦な助走。その後、七杯のワインの困難な地帯がつづく。白か赤かは自分で選べる。
お前、何言っちゃってるわけ?w
ツール・ド・フランス観たことある人なら、絶対笑える。
あと、ボケたばあちゃんにエロ歌を歌わせようとする「民俗学者の研究対象」もしんみり来て好き。
作者の自伝的小説らしく、どこまでが現実を元にしているかわからないけど、村から出るのは事実。
そんな村から出て、作家(主人公も)になってるんだから凄い成功だし、村から出るチャンスを得られたことを感謝しているんだけど、明らかに過去を懐かしがり、よそ者になってしまったことに寂しさを覚えているんだよね。そうなると、「残念な日々」というのもまた別の意味合いが出てくるよね。