2014年8月号

今月は、『〈幻想と怪奇〉乱歩生誕120周年』
正直、レベルの低下が否めない〈幻想と怪奇〉特集だけど、今年は最近の中では良質な号だなぁ。


「目羅博士の不思議な犯罪」……江戸川乱歩
「蜘蛛」……H・H・エーヴェルス
「見えない眼 三人の首吊り人の部屋」……エルクマン=シャトリアン


この三本を続けて読めるのが面白い。
「蜘蛛」を改作した「目羅博士の不思議な犯罪」、「見えない眼」の剽窃という説がある「蜘蛛」、そして「目羅博士の不思議な犯罪」は「見えない眼」にそっくり、という不思議な三すくみ。
剽窃というほど、「蜘蛛」と「見えない眼」は似てないんだけど、むしろ乱歩が「見えない眼」を読んでいたってことはありえないの? 
それぐらい似てる。乱歩のが一番面白いけど。


・「甦ったヘロデ王」……A・N・L・マンビー
友人の書棚で発見した一冊の本により、学生時代の忌まわしい記憶が甦る。
面白いんだけど、意味ありげな神父はあれでスルー?


・「風鈴」……マージェリー・アリンガム
イギリス人女性への求婚を断れた日本人の男は、美しい風鈴を残していった。
日本人としては風鈴は清涼感のあるイメージしかないけど、
ここでは日本人の小男への嫌悪が先にあるため、風鈴も極めて重々しいアイテムとして登場