12 Years a Slave



『それでも夜は明ける』鑑賞


第86回アカデミー作品賞受賞作。南部の農園に売られた黒人ソロモン・ノーサップが12年間の壮絶な奴隷生活をつづった伝記を、「SHAME シェイム」で注目を集めたスティーブ・マックイーン監督が映画化した人間ドラマ。1841年、奴隷制度が廃止される前のニューヨーク州サラトガ。自由証明書で認められた自由黒人で、白人の友人も多くいた黒人バイオリニストのソロモンは、愛する家族とともに幸せな生活を送っていたが、ある白人の裏切りによって拉致され、奴隷としてニューオーリンズの地へ売られてしまう。狂信的な選民主義者のエップスら白人たちの容赦ない差別と暴力に苦しめられながらも、ソロモンは決して尊厳を失うことはなかった。やがて12年の歳月が流れたある日、ソロモンは奴隷制度撤廃を唱えるカナダ人労働者バスと出会う。アカデミー賞では作品、監督ほか計9部門にノミネート。作品賞、助演女優賞、脚色賞の3部門を受賞した。

19世紀に書かれた自伝が原作。


まず、さとうきび畑で、農場監督が奴隷たちに作業の指示をしているシーンから始まる。
その夜、主人公のソロモンが木を削っている。何をしているのかと思いきや、それを果実の汁につけて手紙を書き始める。
奴隷なのに文字が書けるの!?


この説明を排した短いシークエンスで、どういう物語なのかが端的に語られる上手さ。


自由証明書を持った黒人が不条理に誘拐され、奴隷として売り飛ばされてしまう様子は『地図になかった世界』が印象深い。
この当時、黒人の輸入が禁止されたため、奴隷にするため、ある意味差別せずに黒人と見れば誘拐するのが横行していたとか。
奴隷はもとより、自由証明書という響きが嫌だよなぁ。


ソロモンの所有者となる二人の白人。
ベネディクト・カンバーバッチ演じるフォードは優しい主人。
マイケル・ファスベンダー演じるエップスは、奴隷の少女をレイプしながら、黒人に愛情を持つはずがないと、彼女に暴力をふるう激しい差別主義者。
奴隷に対する扱いが違う二人だけど、どっちも奴隷制に基盤を置いているのだから、結局同じ穴のムジナなんだよね。
絞首刑寸前で放置され、または鞭打ちされているのに、そこに注目するものはまるでおらず、いつものことだと、普通の農作業を周囲で始める異常な日常。
淡々と虐げられる黒人奴隷の様子にひたすら疲れる。エップスの顔のアップだけで恐怖を覚えてしまう。


ブラッド・ピット演じるバスの奴隷制廃止のセリフが妙に浮いてるのが気になったんだけど、パンフを見ると実在の人物で、彼のお陰で助かるのだから登場は仕方がないw


よくわからなかったのは、ワシントン公演も、最初から誘拐のために仕組まれてたってこと?


カンバーバッチのインタビューは載ってるけど、ルピタ・ニョンゴの扱いは小さい、この先見性のなさよw