Bombastica Naturalis

ボンバストゥス博士の世にも不思議な植物図鑑

ボンバストゥス博士の世にも不思議な植物図鑑

19世紀の植物学者、ボンバストゥス・ドゥルシメール博士が考えだした、奇想天外な植物がアルファベット順にならぶ不思議な植物図鑑。午前零時までに収穫をすべき「馬車カボチャ」、自分をめでる鏡のついた「鏡スイセン」、「ラッパ銃オリーブ」…。スペイン生まれの新進気鋭の絵本作家が緻密に、ときにデフォルメをきかせた美しい絵で、ユーモアと空想の世界へといざなう。でも、ボンバストゥス博士って、ほんとうにいるの?

鼻行類*1、『アフターマン*2、『秘密の動物誌』*3、『平行植物*4と架空博物誌の傑作は多い。
それらは絵本にも少なくなく、本書はそこに加わる……かどうか見極めるために着手。


題名から、K・スギャーマ博士シリーズ*5に近いのかと思っていたけど、図鑑らしさは薄く、むしろ絵解きを楽しむ絵本。
美麗な絵柄で、何かしらのアクションを起こしているキャラクターと情景が見開きで描かれ、そこに奇妙な植物が一緒に紹介されている。
それらの行動は次のシーンに影響を与えており、その因果関係を考えながら眺める楽しみがある。
例えば、鳥かごを持った男が熊手で転びそうになっている。次のページでは、その中にいた鳥が……という次第。
また、一度登場したキャラクターが再度現れ、それを探すのも楽しい。


作中で言及される『不可能博物誌』も出てほしいなぁ。