2014年4月号

今月の特集は、「ベストSF2013」上位作家競作


翻訳は3本。
「否定」……クリストファー・プリースト
〈ドリームアーキペラゴ〉シリーズ。
北の大陸にあるファイアンドランドの国境の村に駐屯する青年兵。
元文学青年だった彼は、自分の尊敬する作家が村にやってくることを知る。
『夢幻諸島から』*1の「フェレディ環礁」のエピソードのその後(?)
『夢幻諸島から』がガイドブックの体裁をとっていたため、あまり戦中(いちおう)らしい描写がなかったのに対して、この短篇はドンパチはないものの最前線を舞台にしている。
そのため、寒い国境線の哨戒は緊張感に溢れ、それを対照的にモイリータとの対話は暖かみがある。
しかし、やはり彼女もただならぬ空気を感じており、そこに剣呑な気配が見え隠れしている。
ラスト、主人公はモイリータの騙りに囚われたのか?
「拒絶」*2の新訳。


「遊星からの物体Xの回想」……ピーター・ワッツ
題名*3の通りの内容。
遊星からの物体X ファーストコンタクト*4よりもはるかに面白く、地球人とまるで生態も意識も違うエイリアンの一人称として面白い。
ただ、その割には思考がかなり地球人っぽいんだよなぁ。
それとも、地球人を取り込んだから、こうなったのかしら?


「ウナティ、毛玉の怪物と闘う」……ローレン・ビュークス
渋谷でカラオケを楽しんでいた〈サイコー戦隊〉隊長のウナティは、ゴジラ並みの巨大な毛玉に襲われる。
彼女はすぐさまロボットに乗って反撃するが……
カラフルなキャンディーが山積みにされてる感じ。
ストーリーは別に面白く無いんだけど、それを補ってあまりありすぎる、過剰なポップカルチャー、オタクカルチャーがチクロのように脳を刺激する。


「SF COMIC SHORT-SHORT」第4回
岩岡ヒサエ
この分なら、岡崎二郎も期待したいなぁ。


「タイム・スリップSFM」第24回
1996年4月号。


大森望の新SF観光局」お休み


堺三保アメリカン・ゴシップ」第54回
にわかに、アメコミクラスタを騒がせたMarvelグローバルコミックス!


「サイバーカルチャートレンド」第51回
高解像度ディスプレイ


「精神の中の物語」第4回
「現代のベートーベン」騒動に思う
会ったこともない人にレッテルを貼るのは〜のくだりは、ワイドショーでこの人しょっちゅうやってない?


「サはサイエンスのサ」第226
目で見ることと感じること6
こちらも佐村河内問題。
だけど、健常者と障害者の溝についてで、非常に含蓄がある。
これはもっと大勢に読んでもらいたい文章だなぁ。


「乱視読者の小説千一夜」お休み


「SFのある文学誌」第28回
偽史・改変歴史の欲望
スーパー英雄大戦の『午睡之夢』はそそられる。


「近代日本奇想小説史[大正・昭和篇]」第9回
少女悲劇小説から派生した冒険小説の流行


「MAGAZINE REVIEW」は〈インターゾーン〉誌
"Ad Astra"キャロル・ジョンストン
"Technarion"ショーン・マクマレン
"Paprika"ジェイスン・サンフォード
が面白そう。


「エンタメSF・ファンタジイの構造」第1回
飯田一史による新連載。
ヒットするエンタメSFの分析。
多くのオタク同様w、ベストセラーはあまり手に取らないので、なかなか楽しみ。


現代日本演劇のSF的諸相」第1回
山崎健太による新連載。
第1回はカレル・チャペックの『ロボット』


来月の特集は、「非英語圏SF特集」