MONKEY 2014年春号

MONKEY Vol.2 ◆ 猿の一ダース(柴田元幸責任編集)

MONKEY Vol.2 ◆ 猿の一ダース(柴田元幸責任編集)

柴田元幸責任編集の文芸誌第2号。
前号は買わなかったんだけど、今回は翻訳短篇多数な上、ブライアン・エヴンソンとケリー・リンクが載ってるというので着手。


・「ザ・パニッシュ」……ブライアン・エヴンソン
ザ・パニッシュという、互いに苛烈な挑み合いをするゲームをしていた二人の少年。
しかし、大人になり、すっかりそのことも忘れていたが、TVにかつての友人が慈善家として出ているのを見て、記憶が蘇る。
彼もまだ覚えているだろうか?
〈厭な物語〉シリーズ*1に入っててもおかしくないような、じっとりした味わいの短篇。
エヴンソンの作品は、詳細はベールに覆われ、結末も投げっぱなしのが多いんだけど、だからこそ嫌な気分が増幅される。
もうすぐ出る短篇集*2も楽しみ。


・「モンスター」……ケリー・リンク
キャンプに来た少年たち。
他のバンガローの少年がモンスターを見たというのだが……
すっかり翻訳がご無沙汰になっちゃったケリー・リンクが久々に登場。
なぜか、モンスターが松本人志のきぐるみに脳内変換。
「ちゃうねん、おっちゃん、モンスターやねん」っていう感じw
モンスターとの会話は妙に間が抜けてて笑えるんだけど、状況はスプラッタで、ラストはけっこう怖い。
リンクの作品ではわかりやすい。


・「中毒/犬たち/飢え/自然/変容/太った婦人が歌うのを待って」……ラッセル・エドソン
散文詩というジャンルだそうで。
掲載作は変な世界を描いたものばかり。
「太った婦人が歌うのを待って」がお気に入り。


・「Story #18/#23#25」……マシュー・シャープ
オンラインで発表された超短編
けっこうグロテスクだったら、ショッキングな出来事が起きているのに、ラストがなんか笑っちゃう。
かなりヴィジュアルが思い浮かぶ。
蘇った男と殺人者の物語「#25」がお気に入り。


・「息子たちと母たち」……スティーヴン・ミルハウザー
出張ついでに、久々に実家の母の元を訪れた男。
しかし、母の様子がおかしい。
語り手たる主人公は何も漏らしていないんだけど、母親の面倒が見られてない罪悪感が激しく伝わってくる。
それと同時に、面倒なことから手を引きたいという気持ちも。
ピアノに立てかけちゃうところとかさ〜


・「ありそうな/道順/軍服」……J・ロバート・レノン
超短編3本
夜中に目を覚ますと、誰も乗ってない作業者が何台も「ありそうな」
友人夫婦の娘とそのボーイフレンドを迎えることになる「道順」
冷戦期、核実験の影響を測るため、豚用の軍服を作ることになった繊維業者。彼はそれが気に入り、こっそり愛犬にも作るのだが「軍服」


・「機能不全家族」……アグネス・オーエンズ
揃いも揃ってダメ人間の家族。
しかし、妙に読後はカラッとしてる。