THE GIRL OF FIRE AND THORNS

炎と茨の王女 (創元推理文庫)

炎と茨の王女 (創元推理文庫)

今日はわたし,オロバジェ国の第二王女エリサの結婚式。砂漠の国ホヤ・ド・アレナの王アレハンドロに嫁ぐのだ。美しく賢い姉ファナが祖国の王位を継ぎ,食いしん坊で飽きっぽいわたしが祖国の二倍もある国の王妃になるなんて,本当に皮肉。初めて会った夫はうっとりするくらい素敵で優しい。でも嫁ぎ先ホヤ・ド・アレナ国に着いたわたしは何かがおかしいと気づいた。なぜ夫は結婚したことを隠すんだろう? 四世代にひとりだけ現れる神に選ばれし者,ゴッド・ストーンを帯びた王女エリサの数奇な運命を描く,異世界ファンタジー三部作開幕。

バチガルピ激賞! で気になりつつも、またもや三部作か〜と及び腰(シリーズものはなるべく避けたい)
しかし、いざ手に取ると、これが一気読み。


主人公エリサは第二王女なのでなんの責任感もなく、趣味の宗教と戦史の研究に明け暮れ、かつ食いしん坊なので服はパツパツ。唯一、120年に一度生まれると言うゴッド・ストーンを帯びているがなんお役に立つのかもわからない。
そんな彼女が陰謀に巻き込まれ、持ち前の知識によって活躍と成長を遂げていく。
決して、魔法の力で状況を打開するのではなく、エリサに魔法があると信じている人々を率いて、知略で勝負していくのが面白い。


平たく言えば、デブの歴女が砂漠でダイエットして戻ってくる話w


ファンタジー設定自体はさほど新味があるわけではないけど、何よりキャラクターが魅力的。
主人公はもとより、頼りにならないイケメン国王、頼りになる近衛兵、謎多き乳母、意地悪な王の愛人、砂漠の民、ちょい役の侍女でさえ印象に残っている。
また、SFに比べてファンタジーは食べ物の描写が豊かだけど、特に本作は主人公が常に何か食べているので、どれも非常に美味しそう。


物語はとりあえず、この1冊で完結してるんだけど、今後、さらに権力と知識と友人を得たエリサ(ついでに痩せた)がどう活躍していくのか、続きが楽しみ。