The Man Who Loved Books Too Much: The True Story of a Thief, a Detective, and a World of Literary Obsession
- 作者: アリソン・フーヴァー・バートレット,築地誠子
- 出版社/メーカー: 原書房
- 発売日: 2013/11/25
- メディア: 単行本
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稀少古書のみ数百冊を巧妙な手口で盗み続けた「本を愛しすぎた男」と、彼を追う古書店主にして熱血素人探偵のデッドヒート! 古今東西の本泥棒たちの驚きのエピソードも交えて描く、古書をめぐる手に汗握るノンフィクション。
モラルのないオタクは、単なる犯罪者だ!
電車の撮影のために枝を切る輩の記憶は新しいし、自分が見た犯罪行為としてはヤングアニマル1996年14号とかな!
本書で描かれる本泥棒は転売目的ではなく、本に囲まれたい、こんな凄い本を持ってる俺って凄くない!?と見られたいがために稀覯本の盗難を繰り返す。
その手口はクレジットカード詐欺。
彼は金持ちや書店が稀覯本を持っていて自分がそうでないことを不公平と考え、それらをタダで手に入れることがステータスだと信じているクソ野郎。
ただ、憤る前にちょっと待って欲しい。
彼の手段は犯罪以外の何物でもないし、その思考も完全に自分勝手な反社会的なものだけど、その目的と動機は、本に限らず、コレクター気質のある人間なら、苦笑いしながら理解できるんじゃないかなぁ。
100円コーナーに掘り出し物を見つけた瞬間に興奮しない奴がどこにいる?
他人が持っていない(あるいは、ライバルが持っているからこそ)レアものを我が手にしたいと思わないコレクターがどこに?
貸し金庫に盗品を隠さず、手元に置いて愛でたいがゆえに押収されてしまう彼を馬鹿にできるコレクターがどこに?
そこに頷いちゃうような人間は自戒も意味も込めてオススメw
このクレジットカード詐欺の古本泥棒を彼を追うアメリカ古書籍商組合の防犯部長がメインなんだけど、彼ら以外にも古今東西の本オタクエピソードや名言にあふれ、付箋貼りまくり。
いくつか紹介すると、
「古書は内容で判断しちゃいけない!」
稀覯本とは「私が欲しくてたまらないのに見つからない本」
コレクターが本について語るときの様子は、女たらしが数々の恋愛話をする時の様子に似ている。
コレクターは蔵書が増えれば増えるほどもっと欲しくなる。
あるコレクションが完成すると、別の何かをすぐ集めようとする。
などなど。
ダメ過ぎるw そして、全部、身に覚え&知り合いにいるんですがw
19世紀スペインのドン・ヴィンセンテの事件も涙なしには読めない。
最後に、ウィルマース・シェルドン・ルイスの言葉を。
「狂っていようが、はたまた正気であろうが、文明を救うのは彼らだ」