THE HUMAN DIVISION

戦いの虚空 (老人と宇宙5)

戦いの虚空 (老人と宇宙5)

コロニー連合は、兵士と植民者の供給を頼っていた地球に関係を断たれた。このままでは防御を失った人類の惑星は、技術力に欠ける地球も含めて、30年で絶滅する――そのころ、コロニー防衛軍のハリー・ウイルスンは、外交団の一員として、ろくでもない任務に追われていた。しかし、その奮闘により、連合と地球との関係に希望が見えてきたとき、謎の敵が攻撃を仕掛けてくる……。陰謀渦巻く〈老人と宇宙〉シリーズ第5弾!

〈老人と宇宙〉シリーズ5巻!
てっきり、4巻*1で物語は終わって、あとは「ハリーの災難」のような番外編的な短篇がちょろちょろあるだけだと思ってたよ。
それがまさかの第二部開始とは。


物語は4巻直後で、主人公はペリーではなく、彼の元同僚のハリー。
ペリーが八面六臂の大活躍を見せたのに対して、ハリーは大量のつばを吐きかけられたり、地下に飲み込まれた犬を探したり、八百長プロレスをやったりと、かなり程度が下がる任務ばかり。しかし、それらはコロニー連合、ひいては人類が生き延びるために必要な、異星人との外交なのだ。


連作形式になっていて、そんな珍妙な外交任務が毎度繰り広げられ、冷静な大使のアブムウェ、ドジっ子体質のシュミットとの掛け合いも楽しく、全体的にコミカル。
けれども、その背後では、彼らとその外交を始末しようとする冷酷な陰謀が進行していく。
これは続きが楽しみだなぁ。


巻末にボーナス・トラック的に「ハリーの災難」と「ハフト・ソルヴォーラがチュロスを食べて現代の若者と話をする」が収録されている。翻訳されたスコルジー作品はみんな読んでるけど(そんなにないけど)、この長い題名の後者は、ベスト級にいいなぁ。