Dans la maison



『危険なプロット』鑑賞

フランソワ・オゾン監督が、文才あふれる少年と彼に翻弄される国語教師が繰り広げる心理戦を描いた作品。かつて作家を目指していた高校教師ジェルマンは、生徒たちの作文を採点している最中、男子生徒クロードが書いた文章に目を留める。それは、あるクラスメイトとその家族を皮肉につづったものだった。クロードの感情あふれる文章に危うさを感じながらも、その才能にひきつけられたジェルマンは、クロードに小説の書き方を指導していくが……。

物語を求める人間にとって、なんと破壊力なる言葉よ「続く」とは。


伯楽を
気取って生徒を育てているつもりが、結局は彼に踊らされる国語教師を描いた物語。

ジェルマン演じるファブリス・ルキーニがいかにも国語の先生といった風体でいいんだよね。一方のクロード演じるはエルンスト・ウンハウワー。作中だと目立たない生徒という表現なんだけど、萩尾望都的美少年。彼の親友(?)で取材対象であるラファは、絵に描いたようなボンクラ顔でたまらないw


ラファの家庭に侵入し、小説に描かれていることは全て現実、とはクロードは言ってないんだよね。それが現実だと思っているのはジェルマンであり、観客である我ら。
この創作と現実の区別がつかないのは、クロードの語るラファ一家の再現シーンに突然ジェルマンが乱入し、ツッコミを入れるという演出。
これにより、回想シーンだと思って見ていたものがクロードの創作だと思い出されるんだけど、同時にそれは現実も侵食していく。


クロードがラファの母親と関係を持ったのが事実かわからないし、ジェルマンの妻に対する疑心暗鬼は完全に彼がクロードに囚われてしまった証拠。
妻が疑うようなBL体験はないものの、精神的にはそれに近い。
その末に二人がたどり着いた、もしくは、クロードが初めから狙っていた結末は……