TRAUMEREI

予期せぬ結末2 トロイメライ (扶桑社ミステリー)

予期せぬ結末2 トロイメライ (扶桑社ミステリー)

意想外の設定と冴え渡るラストのひねり。稀代のアンソロジスト井上雅彦が贈る、海外異色作家短篇シリーズの第二巻が登場。様々なジャンルで圧倒的な才能を発揮しながら、38歳の若さで数奇な人生を閉じた天才チャールズ・ボーモント。彼の遺した珠玉の作品群から、未訳作と個人集未収録作のみをセレクト。自らが死ねば世界が終わると主張する死刑囚を描く表題作ほか、怪物小説の伝説的傑作「フリッチェン」、社会派SFの名品「変身処置」など、個性あふれる短篇13本を収録!


・「血の兄弟」Blood Brother
・「とむらいの唄」Mourning Song
・「トロイメライTraumerei
・「悪魔が来たりて――?」The Devil, You Say?
・「幽霊の3/3」Three Thirds of a Ghost
・「秘密結社SPOL」Gentlemen, Be Seated
・「殺人者たち」The Murderers
・「フリッチェン」Fritzchen
・「集合場所」Place of Meeting
・「エレジー」Elegy
・「変身処置」The Beautiful People
・「老人と森」Something in the Earth
・「終油の秘蹟」Last Rites

翻訳された短篇は結構多いんだけど、短篇集はこれが三冊目。
本書にまとめられているものは、フィニィと違った意味で、ノスタルジーを語っている。
フィニィが人の記憶にしか残っていないものを懐かしむのに対して、ボーモントのそれは過去の概念だったり、絶滅した人類だったり、世界最後の森だったり、消え行くものを描いた作品が多い気がした。
ボーモント自身の最期とも重ねちゃうね。


お気入りは、
・「とむらいの唄」
盲目の男が立ち止まり歌を歌われた家からは死人が出る。
それを信じない主人公は……
これは主人公の運命を歌ったのか、結婚していたら嫁が死んだのか。


・「トロイメライ
とある死刑囚。
彼はこの世界は自分の見ている夢だというのだが……
ラストは、アワビ(かホタテ)の地獄焼きが脳裏に浮かんでしょうがないw


・「秘密結社SPOL」
勤め先の社長に誘われた男。
社長はこの世からジョークが消えないように暗躍する秘密結社の一員で、彼を仲間に入れようと言ううのだが……


・「フリッチェン」
奇妙な動物を見つけた少年。
父親はそれで金儲けしようとするが……


・「集合場所」
世界中に散らばり人を探す謎の一団。
彼らの正体は?


・「終油の秘蹟
死期を悟り、知り合いの神父を呼ぶ男。
彼は機械に魂はあるのかと問う。