Reeling for the Empire

「帝国のための糸操り」カレン・ラッセ

明治時代の日本。役人の口車に乗せられ、製糸工場に連れてこられる少女たち。彼女たちは、あるお茶を飲んだことにより、体内で糸を生成するようになるのだ……

カレン・ラッセル補完ということで着手。


訳者がどれくらい修正したかはわからないけど、日本に関する記述はかなりしっかりしていて、違和感ないなぁ。
個人的には、蚕を煮る、という現実だけでかなり気持ち悪いんだけど、ここでは、閉じ込められた女工の体内から糸を引っ張りだすという輪をかけたグロテスクさ。


それ故に、彼女たちが人格を無視された工場のパーツ、酷使され、疲弊していく様子が強調されている。


『スワンプランディア!』*1とこの短篇だけで判断するのもなんだけど、少女の成長、自由には、引き換えとして痛みが伴う、ってのがカレン・ラッセルの作風なのかなぁ。


他の作品も翻訳希望〜

文学界 2013年 08月号 [雑誌]

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