THE TINY WIFE

銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件

銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件

ある日、カナダの銀行に紫色の帽子をかぶった強盗がやってきた。彼はその場にいた十三人から?もっとも思い入れのあるもの”を奪い、去り際にこんな台詞を残した。「私は、あなたがたの魂の五十一%を手に、ここを立ち去ってゆきます。そのせいであなたがたの人生には、一風おかしな、不可思議なできごとが起こることになるでしょう。ですがなにより重要なのは――その五十一%をご自身で回復させねばならぬということ。さもなければあなたがたは、命を落とすことにおなりだ」その言葉どおり、被害者たちに奇妙なことが起こりはじめる。身長が日に日に縮んでしまったり、心臓が爆弾になってしまったり。母親が九十八人に分裂した男性もいれば、夫が雪だるまに変身した女性も……。いったい、なにがどうなっているのか?

この題名を素通りできるガイブン読みの血は何色だ!


まさに「奴は大変なものを盗んでいきました……あなたの心です」をテーマにした作品。


ネタバレ感想になので、読もうと思ってる方は後ほど。
短めの作品なので、そんなに時間かからないし。


謎の強盗により、思い入れのあるものを盗まれた被害者たちに振りかかる奇妙な現象。
それぞれの現象に同じものはなく、盗まれた魂を回復できなければ、命を落とすことになるという。
この手の物語の面白さは、その奇妙な現象の質にかかってくるんだけど、その点は大丈夫。題名通り、縮んでいく妻、心臓が爆弾になった女性、ライオンのタトゥーに追いかけられる女性、母親が九十八人に分裂した男性、夫が雪だるまに変身した女性などなど。


では、これらは何を表し、どうすれば、被害者たちは元の生活に戻れるのか?
一番わかり易いのは、心臓が爆弾になった女性のエピソード。それと、背が縮んでいく主人公のラスト。
彼らの人生の不満が具現化してるんだよね。
倦怠期に入り、夫が自分を全く見てくれなくなった妻。彼女は、あと一日でこの世から消えてしまうほど小さくなって初めて、夫が彼女を注視してくれる。
ただ、キャンディになった女性は、家族に愛されると同時に命も落としていると思うんだけど。
あと、夫が雪だるまに変身した女性は、彼と義母に不満があったってこと? 雪だるまの処理は完全に死体をバラバラにしているようにしか見えないんですがw