vol.7

ナイトランド 7号 (秋2013)

ナイトランド 7号 (秋2013)

特集は「妖女」


・「マグダラ扁桃体」……ルーシー・A・スナイダー
奇病に冒された女性。
その病気は進行すると凶暴になり、人を襲うようになってしまう。
彼女はまだそこまでではないが、激しい渇望が……
ゾンビものの変奏曲と思わせつつ……ラストのスライドはなかなか巧み。
また、同士との行為は、エロ・グロ・グルメと三拍子揃った名シーン。


・「ナイチンゲール」……サイモン・ストランザス
友人が一目惚れしたというジャズシンガーに、同じく魅せられた男。
友人は彼女とともに旅に出るというが、そのまま行方を消す。
ある日、彼女が同じように店に立っているのを見つけ……


・「サディスティックな少女たち」……マット・レイション
社会奉仕活動で墓地の草刈りをする少年。
彼をからかうような少女の声とともに、そこには動物の死骸が……
以前載った「ポートランド石のわが心」とは違い、かなり直接的でグロテスク。


・「カーリー」……グリン・バーラス
傷痍軍人として、ヘルパーロボットを支給された男。
彼はそれを使って、電脳麻薬を密売していた。
しかし、今度渡せれたブツは危険なものらしく、すでに客先に向かわせてしまい……
もうちょい、フェティッシュな心理描写がほしいところ。


・「墓地の恋人たち」……ブライアン・サモンズ
墓地で死姦する男。
その相手は……
ショートショートだけど、今月はこれが一番好みかもw


全体的にクトゥルフ味が強かった印象。


【追悼】 リチャード・マシスン
・「死線」
晦日に呼ばれた医者。
あと数時間で死にそうな老人がいるのだが、彼は自分が1歳だという……
非常に、引き締まった小品。ラストのスパイスも巧いなぁ。


〈インタビュー〉ー「ダーク・ドリーマー、リチャード・マシスン」スタンリー・ウィーオッター
出てくる交友関係が知ってる名前ばかりw
ホラーという言葉は嫌い、など興味深い話が多い。


【エッセイ】
・「クトゥルー・ミーツ・アメリカンコミックス(下)」森瀬 繚


ピーター・カッシング生誕百年記念・特別寄稿「カッシング・オン・スクリーン2」菊地 秀行


【連載コラム】
・「私の偏愛する三つの怪奇幻想小説」第7回
山本弘氏。


・「Asian Horror Now」第7回
台湾のクィア小説。
やはり、発表が台湾は多いのね。


・「金色の蜂蜜酒を飲みながら」第7回


・「ファンタスティック・シネマ通信」第7回
『ロード・オブ・セイラム』


・「クトゥルー・インフォメーション(海外編)」マット・カーペンター
クトゥルー神話解説書


次回は……来年の8月〜!?
しばらくお休みの事情はこちら。
2年目もちゃんと出て、とりあえじ安心、と思っていた矢先に!
ジャンル翻訳短篇の量としては、SFMミスマガよりも楽しみにしていた雑誌なので、休刊は本当に残念。
こういうジャンルで、こういう動きは、正直不安。
来年の再開と、ナイトランド叢書を信じて、約一年待ちますよ。