2013年11月号

今月の特集は、「The Best of Foreign Short Fictions 海外SF短篇セレクション」
結論から言うなら、毎年この特集やってくれないかなぁ。まぁ、それって12月号の「The Best of 2011」なんですが。
一時期は文庫出てたのに、最近はめっきり訳されなくなっちゃたなぁ、という作家の最近の短篇をこういう特集でフォローしてもらえるとありがたい。ソウヤーとかさ。


翻訳は5本。
・「ホワイトフェード」 ……キャサリン・M・ヴァレンテ
違う歴史を辿ったらしいアメリカ。
そこは白人至上主義やマッカーシズムに支配されていた。
しかし、アメリカ人は激減し、少年少女は生殖可能年齢になると、お披露目されることに……
なぜか『ハンガー・ゲーム』とビジュアルイメージがダブったんだけど、ディストピア感は遥かに絶望的。
生まれる子供の数が少ないから、将来を希望することもなく人生を決められていく子供たち。その絶望をごまかすかのような、過剰なコマーシャリズム
ヴァレンテの他の作品同様、フェミニズム要素は強いものの、現代社会にも通じる暗澹たる様。同時に、ディストピアSFとしてのビジュアルも、色々と想像させてくれる。


・「ジャガンナート――世界の主」 ……カリン・ティドベック
巨大なマザーの中で生まれ、成長し、マザーのために働く人々。
ある日、マザーの動きがおかしくなり……
閉じられた世界から、好奇心旺盛な少女が外の世界を知ろうとする、という筋立てはよくあるけど、この短編は全てが肉色でぬめぬめとしたグロテスクな世界が披露される。
お初の作家だけど、他のも読んでみたいなぁ。


・「最終試験」 ……メガン・アーケンバーグ
質問と解答形式で描かれる、世界の危機と夫婦の終わり。
変わった記述だけど、いつしか、真面目に設問を考えている自分に気づく。
終わった試験同様、「ああすれば、こうすれば……」と思い悩むが、過去はもうどうにもならない。
それは別れた夫も、謎の怪物たちも同じ。


・「真空キッド」 ……スティーヴン・バクスター
宇宙船の事故で、自分が真空中でも死なない体質であることに気づいた青年。
彼はコスチュームを作り、真空キッドとしてデビューするが……
宇宙空間でも死なないマン・ビギンズ(笑)
後半はバクスターっぽいビジュアルになるんだけど、個人的には、もっとヒーロー活動が読みたかったなぁ。


・「パリンプセスト〈前篇〉」 ……チャールズ・ストロス
後篇を読んでからまとめて。


「タイム・スリップSFM」1985年11月号。


大森望の新SF観光局」第36回
八月のSF祭り


堺三保アメリカン・ゴシップ」第48回
立体映画の落日?


「SF挿絵画家の系譜」第91回
吉田貫三郎


「サイバーカルチャートレンド」第47回
すべてをビッグブラザーに握られないために


「サはサイエンスのサ」第221回
目で見ることと感じること


「センス・オブ・リアリティ」は、
金子隆一は、毎月楽しんでいたので、本当に訃報は残念。ご冥福をお祈りします。
香山リカは、オリンピック開催を聞いて


「乱視読者の小説千一夜」第33回
60年代イギリスのポップカルチャー


「SFのある文学誌」第23回
アルベール・ロビタの二十世紀


「パラフィクション論序説」第13回
パラフィクションとは何か?


「近代日本奇想小説史[大正・昭和篇]」第4回
〈日本少年〉の作家と少年冒険小説1


「MAGAZINE REVIEW」は〈アナログ〉誌
"Geosperimia"パティ・ジャンセン
"A Cup of Dirt"マーク・ニューマン=ロス
が面白そう。


来月の特集は、「ジャック・ヴァンス追悼特集」