World War Z



『ワールド・ウォーZ』鑑賞

ブラッド・ピット主演、「007 慰めの報酬」「ネバーランド」のマーク・フォースター監督のメガホンで、マックス・ブルックスのベストセラー小説を映画化したパニック大作。突如発生した謎のウィルスが瞬く間に世界中へと広がり、各国の政府や軍隊が崩壊状態に陥る。元国連捜査官で、伝染病の調査や紛争国での調停役を務めた経験をもつジェリーは、旧知の仲の国連事務次官ティエリーに呼び出され、ワクチン開発の情報収集のため各国をめぐる調査隊に同行するよう依頼される。ジェリーは妻と娘2人を安全な国連指揮艦の空母にかくまってもらうことを条件に依頼を引き受け、ウィルスの謎を解明するため混乱する世界へ旅立つ。

同名小説*1の映画化。


あの傑作が、大金かけて、なんでこんなシロモノに……
アンナ姐さんなら、稽古をボイコットするレベル。


注:以下、原作厨によるネタバレ感想なので、鑑賞予定の方はスルーの方向で。


小説も、映画も好きな身としては、「原作と比べて〜」ということはあまり口にしたくないんだけど、ジャンル小説の傑作で、個人的にも非常に面白く読んだ作品なんでご容赦を。


原作の舞台は世界ゾンビ大戦(WWZ)後の世界で、あの騒動の時に人々は何をしていたのか? というインタビューがまとめられたオーラル・ヒストリー形式の小説。
それをどうやって映画化するのかなぁ、と企画段階で不安だったんだけど、予告映像でやはり激しい「コレジャナイ」感が……


それでも、実際のニュース映像(だよね?)をサンプリングしたオープニングで、意外にいいかも、と思ったのはそこまで。
ブラピ一家がヘリコプターで助かるシーンで、もう飽きる。
この映画は、あらゆる困難がブラピだから乗り越えられるわけで、それって原作の間逆なんだよね。原作はブラピでない人々(むろん超人的な戦士もいるけど)がゾンビ禍をどう対処したかが、世界中で語られるから面白いのであって、たった一人の活躍によって世界が救われるって単なるヒーロー物じゃん。
スーパーエージェントじゃなくて、戦場カメラマンとかの方が、まだ原作のテイストが残ったと思う。
腕チョンパとか、ワクチンとか、『WWZ』の更に原型たる『ゾンビサバイバルガイド』*2にも準拠してなくて、ますます失笑。


原作云々は置いといても、ゾンビ映画としても、血が全く出ないんで、まるでらしくない。宣伝でも一言もゾンビとは言ってないしね。
レイトショーでもかなり入ってたんで、そのレーティングは効果が出てるのかもしれないけど(笑)


よかったのは、走るゾンビの進化系たる群体化し、津波となって襲ってくるゾンビくらいかなぁ。あと、近年稀に見る役立たずのウイルス学者が見どころ。


どうして、ここまで原作の良さを抜いたのかなぁ。
「ワールド・ウォー」なのは、アメリカの一都市が舞台なのじゃなくて、アメリカ→韓国→イスラエルウェールズ→カナダと飛び回るくらい。
こんなにブラピ無双に改変するなら、日本のスーパーサムラーイを主人公にして欲しかったんですが(笑)あと、海底を歩いてくるゾンビの群れは映像化して欲しかったなぁ。


ハズレ