IL BAR SOTTO IL MARE

海底バール

海底バール

「さあ、どうぞお掛けください。今晩はここにいる全員がひとつずつ物語を語り聞かせる夜なのです」――至高の料理で悪魔に対崎する「フランス一偉大なシェフ」、優雅なイギリス紳士の船長が〈海の魂〉に恋い慕われる「マチュ=マロワ」、闇の世界に足を踏み入れようとしていた若き日の親友との再会譚「オレロン」、天性のバイク乗りと絶世の美女の青春グラフィティ「プロント・ソッコルソとビューティー・ケースのラブストーリー」、クラス一のミステリマニアの女の子が披露する見事な推理劇「プリシラ・マップルと二年C組殺人事件」など、笑いと奇想と仕掛けに満ちたやや脱力系短篇集


・「序」
・「狂った気象の年」
・「フランス一偉大なシェフ」
・「文字食い虫」
・「マチエ=マロワ」
・「独裁者と白いお客さん」
・「アキッレとエットレ」
・「心からひとを愛するとき」
・「恋する宇宙人」
・「ナスターシャ」
・「カリフォルニア・クロール」
・「オレロン」
・「道路を横断する老人の冒険」
・「プロント・ソツコルソとビューティー・ケースのラブストーリー」
・「シミゼ」
・「プリシッラ・マップルと二年C組殺人事件」
・「サン・ロレンツォ島の守護神」
・「魔法のギター」
・「面汚しの妖精」
・「クララと四枚の薄衣」
・「サービスエリア・ホラー」
・「ショートショート
・「スプレンドール座、ポルノの日」
・「海辺の空き家の前で途方に暮れたアルトゥーロ」
・「終章 ゲストの物語」

『海底バール』! なんと妄想掻き立てられる題名か! って、BAR(イタリア語でバール)のことか……。去年の旅行の際に目にしてるじゃん……。


さて。


『聖女チェレステ団の悪童』*1のステファンノ・ベンニの短篇集。
いつともどことも知れず、なぜか海底にある(説明されず)バールに集うお客たち。彼らが披露する珍妙な物語の数々。『白鹿亭綺譚』*2に近いのかな。内容はほら話、SF、ホラー、ミステリ、ロマンスとなんでもあり。


お気に入りは、


・「文字食い虫」
本に生息し、文字を食べてしまう文字食い虫の解説。
この文章自体食べられちゃってる!


・「アキッレとエットレ」
自転車をめぐって仲たがいした親友同士。
二人は様々な勝負をするが……


・「ナスターシャ」
他愛もない悲恋ものなんだけど、語り手が透明人間って!!
お前の話を聞かせろよ!(笑)


・「オレロン」
自動車の故障のため雨宿りに寄ったのは、学生時代の友人の屋敷だった。
彼は非常にエキセントリックで、悪魔崇拝者にも思えて……
結婚したオタクの姿がオーバーラップ。


・「道路を横断する老人の冒険」
道向の公園に行きたい老人。
しかし、車が激しくなかなか渡れない……
「南部高速道路」*3+『フロッガー』って感じ(笑)


・「魔法のギター」
どんな曲でも弾ける魔法のギターを手に入れた青年。
それは善良な心がないと魔力を失ってしまいう。
しかし、彼はライバルに殺され、ギターを奪われてしまう……


・「スプレンドール座、ポルノの日」
初めて映画館ができた小さな村。
日替わりで映画がかけられていたが、土曜日はアダルト・オンリー。
しかし、女子供も詰めかけ、映画館は大騒ぎ。
あまりにもけしからんと神父が催涙ガスを持って向かうと……
まさに『ニュー・シネマ・パラダイス*4! 非常に好きな作品。


ついでに『STRANALANDIA』も購入。



イタリア語なんで全く読めないんだけど、図版多数でなかなか楽しい。
Codex Seraphinianus*5に雰囲気似てるかな。
表紙はペーパークラフトの完成図なんだけど、足とか無理だから!