V/H/S



『V/H/S シンドローム』鑑賞

イーライ・ロスに才能を見出された「キャビン・フィーバー2」のタイ・ウェスト、「You're Next」のアダム・ウィンガード、映像制作集団ラジオ・サイレンス(チャド・ビレラ、マット・ベティネリ、タイラー・ジレットジャスティン・マルティネスの4人組)ら気鋭のクリエイターが監督として集い、サンダンス映画祭ほか各国の映画祭で話題になったモキュメンタリーホラー。ある人物から1本のビデオテープを盗み出すよう依頼されたゲイリー、ザック、ロックス、ブラッドの4人の不良グループは、指示された古い一軒家に忍び込み、そこで大量のVHSテープと一体の死体を見つける。戸惑いながらも目的のテープを探すため1本1本再生していくが、そこには想像を絶する恐ろしい映像が収められていた。

POV(主観映像)のホラー・オムニバス。


モキュメンタリーなど、「ビデオカメラを回してる風」作品はどうやっても不自然さが出てしまうもので、エンタメである以上、それをなくすことは不可能だから、なぜ撮影が続いているのかという段取り(強引でも)をしっかりするか、映っているものをよほど面白くしないと、激しく白けてしまう。『トロール・ハンター』や『クロニクル』は後者の代表格で、もう不自然さはどうでもいいほど面白い。


ところが、この作品は、正直、一話目からあまりの不自然さにドン引き。泥棒に入ってるのに、説明もなくなんで二台もカメラ回してるの!? しかも、この手の画面は映画館だとかなり疲れるので、これをあと2時間も観なくちゃいけないのかと苦痛を覚える。


この第一話目のキャラクターたちが観ているビデオが各話のエピソードという、ブリッジにもなってるんだけど、それならラストもこれで閉めなくちゃダメでしょ? 一番外側なんだから、これは別にPOVにこだわらなくても良かったような。


それぞれも今ひとつなんだけど、ちょいちょい悪くないアイデアが散見できる。
例えば「AMATEUR NIGHT」のメガネ型カメラ。これはずっとかけているわけだから、なんでそんなシーンまでカメラ回してるの? という不自然さを回避している。このアイテムを全話共通にしたオムニバスにすればよかったのに。ところで、これに出てくるクリーチャーはゴケミドロ
それから、「TUESDAY THE 17TH」のノイズで映らない殺人鬼は、これはこれで膨らました物語が見てみたい。この作品自体はつまらないけど。
唯一面白かったのが「THE SICK THING THAT HAPPENED TO EMILY WHEN SHE WAS YOUNGER」遠距離恋愛カップSkypeで会話しているという作りで、その彼女側の画面に幽霊が映っているので、主観映像である必然性が高められている。また、物語も、彼女の原因不明の奇行と幽霊の存在が推進力となり、遠距離恋愛のため、彼氏は何もできないというもどかしさがフックになっている。ラストのひねりもいいし。


続編も決定しているらしいけど、このレベルなら、見る必要ないなぁ。