MYSTERY GIRL

ミステリガール (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

ミステリガール (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

「ぼくが探偵助手となって最初の殺人事件を解決したのは、妻に捨てられて、いくらか正気を失った直後のことだった」――小説家志望のサムは、働いていた古書店が潰れて無職になった。妻からも突然別れを切り出され、彼は絶望のどん底に沈んでいた。サムは探偵助手の仕事を見つけ再起を図る。文学と芸術しか知らない自分でも探偵にならなれる! そう確信するサムだったが、巨漢の探偵ロンスキーに命じられた謎の美女の素行調査は次第に奇妙な様相を……。ベストミステリ三冠に輝く『二流小説家』の著者、渾身の第二作!

『二流小説家』*1に続く長篇二作目。
日本語翻訳版の方が、本国よりも先に出版されるという、珍しいパターン。映画*2公開に合わせてなのかな?


デイヴィッド・ゴードンの作品は、邦訳されてるものはだいたい読んでるけど、長篇も短篇も、基本主人公が同じなんだよね。小説家崩れのダメ人間で、美人の奥さんに逃げられ、でも年下の美少女には好かれる……って、作者の願望!?
あと、男の巨乳が好きなのかしら?(笑)


装丁ありき(しかも日本版の)なわけはないんだけど、けばけばしいショッキングピンクと女性のシルエットが眼に飛び込むカバーは、この作品を激しく印象づけている。
そのイメージは間違いではなく、作中では名画が多く語られるけど、その器はエロ・グロ・ボンクラとまさにセクスプロイテーション(と言うほどエロくはないんだけど)。非常に映画的で、ビジュアルが思い浮かべやすく、テンポも早い。


物語は素人探偵見習いの主人公が、巨漢の探偵ロンスキーに、謎の女の調査を命じられる、というもの。キ印がボンクラにキ印の調査を命じるとなると、信用できない語り手を予想しちゃうけど、そうはならないのは作風かな。
個人的にはいろいろな意味で『姑獲鳥の夏*3を思い出した。探偵自身は動かず、探偵の目として主人公が甚だ頼りないところとか、他にも色々。
また、前作以上にエキセントリックなキャラが目白押しで、映画ヲタの親友もさることながら、盲目のガンマンがカッコよすぎ。


面白かったけど、もうちょい違う雰囲気の作品も書いて欲しいなぁ。