Сказки дпя вундеркиндов

神童のための童話集

神童のための童話集

河出版異色作家短篇集(勝手に命名)第三弾。

長く歴史に埋もれ、近年、再評価がすすむ1920/30年代ロシアの異才クルジジャノフスキィがその可能性を凝縮させた初期作品集。円城塔氏、推薦。驚くべき奇想と哲学の融合。


収録作品
・「逃げた指たち」
・「ホンノチョットたち」
・「ペガサスの四辺形」
・「預言者のお話」
・「ヤコービと《ヤーコブィ》」
・「大惨事」
・「負けプレーヤー」
・「思考一代記」
・「グライアたち」
・「スピノザと蜘株」
・「ロザリオ」
・「ですから」
・「フゥ・ギィ」
・「影さんの旅」
・「老人と海
・「イタネシエス
・「切り株」
・「《とある人》」
・「蝿象」
・「《歴史の一頁》」
・「売られた涙」
・「風車小屋」
・「おつむはお辞儀し」
・「ジャン=マリー=フィリベール=ブレーズ=ルイ・ド・クゥ」
・「アリガト半分」
・「プロメテウスに縛られて」
・「クンツとシラー」
・「神が死んだ」
・「無者の国」

今まで、全く知られていなかったロシア作品が、1年の間に二冊も短篇集が出るとは!
ちなみに『瞳孔の中』*1とは収録作品はかぶっておりません(はず)


観念や概念をキャラクター化・具象化した作品が多い。わかりやすく言うなら、哲学者ではなく、文字通り立ち上がった哲学そのものと対話する、という感じ。
正直、我が理解力では、半分以上よくわからない……いや、さっぱりわからない話ばかり。ピアニストの指がどっか行っちゃうとか、普通に変な話もあるんだけど、ほとんどが概念的なもの。
物凄く乱暴に例えるとイーガンの「暗黒整数」*2とかに感触が近いかなぁ……なんて言うと、怒られちゃう?(笑)
また、ソ連ということもあってか、ハルムス*3にも味わいが似てるかな。


お気に入りは、
・「ホンノチョットたち」
文書の中に極小の人々を見つけた筆跡分析官。
彼はその王様と友好を結ぶが……


・「グライアたち」
ギリシア神話の、一つの目を共有する三人の老婆グライア。
彼女たちが住む山には文節が生い茂っており、人間たちがそれを取りに来る。
そんな中、目玉を谷底に落としてしまい……


・「老人と海
疑問符を作る鍛冶職人の老人。
彼は自らの胸から出てきた心虫と同居を始めるが……


・「《とある人》」
数学の文章題に書かれる《とある人》が、目の前に現れる。
彼は人生の間に何度も出て来て……


・「《歴史の一頁》」
歴史の一頁がめくられる瞬間に立ち会う男。